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生徒との対話(1)−ビデオ「沖縄の米軍基地…普天間第二小の場合」(NHK福岡)を観て
 以下の文書は生徒達の感想、意見プリントと私のコメントを、ある保護者が裁判所に提出したもの。当時の足立十六中・元井校長によれば、これが「匿名だがAさんらしい人が、『こんな教材を使えばアメリカ国籍の娘がかわいそう』と、わざわざ足立区教委指導室にファックスした」そうである。後に、実は「娘がかわいそう」と言うのは付け足しのようなものだったと判明した。Aは、本当は「反米攻撃がすさまじくて震えた」「アメリカ糾弾の学習が行われた」「こんな授業をやらせていいのか」と言っていたのであった。それらは全て私に知らされずに行われていた。(なお、この干渉について生徒たちに説明した文書生徒との対話(2)−ある保護者からの誹謗中傷による生徒達の疑問に答えてを参照。)

備考:( )内は、私はアンダーラインを引くよう指示したが、この生徒は引いてなかったところ。私は、その生徒・資料の意見の中心点、生徒に考えてほしい意見・事実に、アンダーラインを引くよう指示はするが、強制はしないので、このように一部にだけ引いたりする生徒も結構いる

■沖縄基地についての生徒の感想意見と、それに対する増田のコメント(一保護者がこれを「反米偏向教育」と決めつけた)

私が想像していた「美しい沖縄」とずいぶん違った。
でもあの小学校と十六中を喜んで変えてあげられるぐらいに、あの子達に思いやりがもてるか?
最後の方を見て、何て贅沢なんだ、と思った。
日本政府が沖縄の人に相談もなく全部、勝手に決めちゃって、きっと日本に裏切られたとしか思えないと思う。沖縄は独立することはできないだろうか?
本当に日本はアメリカに好き放題されているのがよく分かった。
東京も地震が心配だけど(こないと思うけど)沖縄の人もかわいそう。
……………………
先生から
地震は天災ですが米軍基地は人災です。

力でゆうことを聞かせるなんて暴力団と同じだと思った。
日本は沖縄に関してアメリカの植民地みたいだと思った。アメリカは広いのだから、そこで軍事練習をしてほしい。
……………………
先生から
アメリカは財政赤字と環境問題のためアメリカ国内の軍事基地は閉鎖ないし縮小しています。

アメリカ軍は日本を守ってくれると言っても今まで本当に日本のために何かしてくれたのか?アメリカは発展した国ですごいなーと思っていたけど、いまではその反対。
10この原因は戦争なので、やっぱり戦争はよくないと思った。
11もしも足立区にアメリカ軍基地ができたらすごい被害を受けてとても迷惑だと思う。
12あんな軍事基地があっても戦争があるわけでもないのに何のためにあるんだろう
先生から
 アメリカ政府はアメリカの「国益」をおびやかす国があればいつでも戦争すると明言しています。そのために沖縄=日本の米軍基地は絶対に必要とアメリカ政府は言っています
13「土地を返してください」というと「じゃあ、代わりの土地を・・・」というアメリカのやり方はとてもきたない。
……………………
先生から
 米軍による日本人の被害にたいしては日本政府が補償金を払うことになっています。
14今、みんな「日本は平和」だって言うけど、こんなの全然平和じゃないと思う。
15もし沖縄の基地を減らすために本土に基地が移ったら、今度はその土地の人達が困るから、アメリカに戻って自分の国に軍事基地を作ればいいと思う。
16米軍基地を作らせるのが悪いと思った。
……………………
先生から
 沖縄の人達は、もちろん抵抗できる限り抵抗しましたが米軍は暴力(銃剣とブルドーザー)でむりやり土地を取り上げて基地を作ったというのが歴史事実です。
17日米安保条約をなくすしかない。
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先生から
 安保条約をなくそうという人は少数派です。アメリカの戦争のお手伝いに自衛隊を協力させるという約束をしています。

●沖縄基地についての生徒の感想意見と、それに対する増田のコメント(つづき)

18海上軍事基地といったら珊瑚礁がつぶされるし、漁業が困るし、また本土に来てもやだし・・・これはー、とても頭の痛い問題だと思う。
19沖縄だけじゃなくて日本全国に米軍基地を移せばいいと思う。
20米軍基地はほかのところにもたくさんある。だからもっとたくさんの人達が困っているはず。国民が「みんなで」考えるということができないのかもしれない。
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先生から
 東京は新宿の西の立川市福生市を中心に広大な横田基地があり、周辺住民は静かな夜を返せ」と裁判に訴えています。

21なぜあの小学校の周りの大人達は子どもの言を考えずに自分の家のすぐ前を米兵が通ったら恐ろしいとか飛行機が落ちそうだとか、自分の言ばかり考えて学校の移転に反対するのか?
22小学校を移したら、そこが米軍基地になってしまうから近くに住んでいる人はかわいそうだ。
23何とか子どもが安心できて、自然も守れる解決策を見つけてほしいと思った。
24政府のいいかげんさが後で返ってくるのだなと思った。
25私達ができることを考えていきたいと思った。
26「日本であって日本でない」という土地があることを知って驚いた。
271951年のサンフランシスコ条約で沖縄を捨てた当時の政府の人達が、そうしないでいたら、こうなっていないと思った。
28日本の政治家達は一体、何をしているのだろう?ってこと。
29解決方法は米軍がいなくなる、軍事施設がなくなることだと思った。
30沖縄の人達は戦争中も戦後も苦しんでいるのでかわいそうだと思った。
31私達は授業が普通に受けられるのにちゃんとしないから、これからはきちんとしようと思った。
32子どもには勉強する権利があり、大人には子どもに学ばせるギムがあると思う。
33最初に戦争の攻撃をしたのは日本(満州事変、真珠湾攻撃)だからしかたないと思う。
……………………
先生から
 実は1907年のハーグ陸戦法規という国際条約において(日本もアメリカも守ると言っているもの)は戦勝国といえども敗戦国の土地を奪ってはならないという条項があります。

34日本の政府が沖縄を見捨てていったようなものだと思った。
35「日本の安全のために」ということで、沖縄の土地、人が犠牲になって、いやだと思った。
36沖縄の人々と一緒にアメリカに基地を返してもらえるように協力してあげればと思った。
……………………
先生から
 日本政府は「戦争の為に自分の土地を使われるのはいやだから米軍に土地を貸すのはいやだ、返してほしい」という反戦地主の人から、アメリカ軍のために土地を取り上げる法律を国会に提出し、衆議院議員9割、参議院議員8割が賛成して、今の国会で米軍基地用地特別措置法が成立しました。理由は「安保条約は日本の国益」ということです。

37日本を守ってくれるという、一見、日本が嬉しいような条約だけれど、これじゃ不平等条約だと思った。

「歴史地理教育 97年5月号の『反戦地主として生きて』島袋善祐氏インタビュー記事」紹介

 要するにおかしいことはおかしい、正しいことは正しいということで、みんなは勇気があると言いますが、多くの人が権力を恐れて言うべきことを言わなかった、これが沖縄の不幸につながったと思っています。
 (島村先生は)米軍の基地は憲法29条の私有財産権の原則に違反し、不法であると教えていて(伊佐浜の闘いに)校長たちは生徒を集めて絶対に行くなとおどしていました。
 米軍は銃剣を突きつけ、50から60トンのブルドーザーを入れ、田畑や家を踏みつぶしていったのです。
 先生が憲法の精神を、文部省の流れとして教える(のではなく、しっかりと真から心を込めて、完全に教えて、子供達に分かるような教育をしていれば、今日のような)横暴な日本政府(にはならなかった)
 だから、日本国憲法のある日本が非常にうらやましかった。日本に復帰すれば平和な生活ができると思って、祖国復帰運動も熱心にやった。
 アメリカは騎兵隊でインディオの土地を銃剣で奪ったクセがあり、沖縄でも「銃剣とブルドーザー」で農民の土地を強奪しました。
 憲法違反の法律を作って平気
 日本国憲法なんてどうでもいいという日本政府の本質を早く見抜かないと、日本はとんでもない国になりますよ。
 SACOは、沖縄の基地を縮小すると言って、新品の基地を陸に、海に作り、海上ヘリポートと浦添軍港を新たに沖縄に押し付けるものです。言うことと、やることも、全くつじつまが合わないから「サッコウ」というのです。
 しっかりしろ!最近、だらしないよ。教師は、(この国がどうあってほしいのか、国の進むべき方向をしっかりと描き、いうべきことはきちんといい、勇断をもって、首を恐れず、正しいことは正しいと教えてほしい)
 子どもには判断する豊かな心があることを信じていただきたい。
 反戦もきびしくても、未来に向かって、子や孫のためを考え、自分とまわりの人々の豊かな人権が花開くことを考えると、こんな楽しいことはないし、釣りだって同じです。
 教師は人間の心を育てる