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 11日から13日にかけて、釜山市民団体協議会のお招きを受け2泊3日の素晴らしい旅をしてきました。
 私を招請してくださった中心人物である理事長先生である金ヒ魯氏は、73歳だそうですけど、とてもお若く見えます。軍事政権下で4度投獄され、合計20年間、獄中にいて非転向を貫き、ノ・ムヒョン大統領と同志であるそうですが、全く温厚で本当に謙虚な方でした。私に対して「増田先生、増田先生」と言われるので、冷や汗が出ます。
 5月11日(木)は、中学・高校の先生対象の「講演会」・・・釜山市教育研究情報院(『東京都教職員研修センター』に当たるところでしょう)というところの大ホール・・・603名の先生達が集まってくれたのです! そして、それはそれは熱心に聞いてくださいました。
 この『講演』の様子はYTN,KBS,MBC,SBS全てのテレビ局が撮影してくれていました。KBSは9時のニュースで流してくれました。新聞では、国際新聞というところが、かなり大きく載せてくれていました。
 5月12日(金)は市民の方達を対象に話しました。10階建て釜山日報社ビルの最上階のホール。昨日の『講演会』が成功! したので、本日は、そうドキドキしないかと思っていたのに、入り口の所に『増田都子先生 招請 講演会』と看板が出ていて、また、ドキドキしてきました。
 聴衆は300人で、やっぱりホールは満員。女性がとても多かったです。始まる前に年配の女性が「テレビで増田先生のこと見て、どうしてもお話を聞きたいと思い、釜山の不便なところにいるんですけど来ました」と言ってくださいました。この方は、日帝時代の日本人の女性教師の方が「学費を出して学校に行かせてくれました」と言われました。どんな時代、どんな国でも、良心のある方はいらっしゃるのですね!
 
 さて、市民の方々もとても熱心に話を聞いてくださいました。日本語の分かる方がとても多くて、翻訳を待たないで私の話にビンビン反応してくださいました。『質問』ということでしたが、激励してくださる方が多かったです。「増田都子先生、あなたは、ジャンヌ・ダルクだ! がんばってください」なんて・・・
 5月13日(土)の朝刊に韓国の全国紙、東亜日報がかなり大きい写真入りで私のことを載せてくれていました! 釜山日報は記事と社説に私のことを載せてくれていました!
■韓国釜山(プサン)での講演内容

2006年5月11日(木)〜13日(土)

 こんにちは。私は増田都子と申します。東京の靖国神社のすぐそばにある九段中学校の教員をしていました・・・残念ながら過去形です・・・釜山までお招きいただきまして、たいへん、ありがとうございます。うまく話せるかどうか、今、胸がドキドキしています。

 私は33年の教員生活の間、生徒達に「女は度胸! 男は愛嬌!(女性は大胆で肝っ玉が太いのが魅力的! 男性は、自己主張せず、いつもニコニコ愛想良くするのが魅力的!)」と教えてきました。

 これは、実は本来は反対の意味の言葉なのです。「男は度胸! 女は愛嬌!(男性は大胆で肝っ玉が太いが魅力的! 女性は、自己主張せず、いつもニコニコ愛想良くするのが魅力的!)」と、女性差別のニュアンスが濃いのです・・・韓国にも、こういう言い方があるでしょうか?

 私は、それを逆に教えていたのです。でも、ここ10年くらいは、全く、こういうことを教える必要がなくなりました。

 教えなくとも「度胸」のある女の子達ばかりになったからです!? 

 そこで、私も、生徒達に教えてきたことを自ら実行して、「度胸」を持って皆様に日本の東京の教育界の現状・・・それは、もちろん、現在の日本社会の現状ということになりますが・・・を話したいと思います。

 先ほど私は「教員をしていました」と過去形で言いました。しかし、私は、教えることがイヤになったから自らの意志で退職したのでも、定年になったから退職したのでもありません。定年までは、あと4年ありました。私は東京都教育委員会によって教員であることを「やめさせられた」のです。解雇されたのです。

 日本の学校の1年の最後の日は3月31日(韓国では2月28日でしょうか)ですが、勤務時間終了から1時間かかって千葉県にある自宅に帰り、午後6時45分に郵便受けに入っていた東京都教育委員会の「封筒」を開封したら「免職処分」の紙切れが入っていました。

 さて、私は、どんな悪いことをした教師なのでしょうか? 皆さん、私が悪いことをするような教師に見えますか? 

 見えませんよね!? 

 皆さんの、人を見る目は、正しい! 

 では、なぜ、東京都教育委員会は、私を「教師不適格」として「免職処分」などにしたのでしょうか? 

 それは、去年のノ・ムヒョン大統領の3・1演説を授業の教材として取り上げ、生徒達に手紙を書かせ、私も手紙を書き、それをまた、教材にして授業をしたことが原因でした。
 私がなぜ、ノ・ムヒョン大統領の3・1演説を授業の教材にしたかと言いますと、ちょうど、歴史の授業で「日本の侵略と植民地支配」についての学習を終え、「戦争責任」を考えさせていた時だったのでタイミングが良かったからです。
 皆さんの大統領への評価は、いろいろあると思いますが、あの3・1演説は、韓国民だけに対するものではなくて、率直に日本人に対して歴史への反省を呼びかけたものとして、現代の日本に生きる生徒達に日韓の真の和解のためにはどうすればいいかを、よく考えさせる、良い教材となると考えました。
 特に私は、大統領演説の中にあった「法的、政治的関係の進展だけでは両国の未来を保障することはできないでしょう。もしそうであるならば、やるべきことをすべてやったと言うことはできません。それ以上の実質的な和解と協力の努力が必要であります。真実と誠意を持って、両国の国民間を塞いでいる心の障壁を崩し真の隣人として生まれかわらなければなりません。」というところに感銘を受けました。たいへん貴重な問題提起だと思います。

 「真実と誠意を持って、両国の国民間を塞いでいる心の障壁を崩し真の隣人として生まれかわ」るためには、日本人は、何をしていかなければならないかを生徒達とともに考えました。そして生徒達の大統領への手紙を読めば、生徒たちは「真の和解のためには何が必要か」を良く理解したと思います。

 ここで、私の「紙上討論」授業について説明します。

 私は1973年、東京都の中学校社会科教員に採用されて以来、日本の平和憲法の下、過去の侵略の歴史への反省や、平和と民主主義の大切さを教えることに努力してきました。そして、生徒たちの創造力を伸ばすために「紙上討論」という授業方法を授業の中に導入しました。
これは、日本の明治時代以降の「富国強兵」「帝国憲法」「侵略戦争と植民地支配」「戦争責任問題」「原爆問題」「日本国憲法」などについて、生徒たちに意見を書かせ、それを元に討論し、さらに意見を書かせるというやり方で進めていくものです。口頭ではなく、必ず意見を紙に書いて、それをプリントして読み合い、また意見を書き、それをプリントして、さらにまた紙上で討論するので、これを「紙上討論」と名付けています。
 なぜ、口頭での討論をしないかというと、口頭だと口の達者な生徒が反対意見を言い負かすことが多くなり、いろいろな意見を参考にしながら、ゆっくりとじっくりと考えて自分の意見をまとめる、という一番大切なことがおろそかになると思うからです。この紙上討論授業によって、生徒達の思考力、表現力を伸ばすとともに、生徒たちの社会への認識能力を高めたと、私は確信しています。

 ところが、この「紙上討論」を敵視したのは、東京都教育委員会、都議会の右翼都議、「産経新聞」そして一部の右翼的保護者です。 私の授業によって、生徒たちが侵略と植民地支配の過去を心から反省できるようになり、平和が尊重される社会、人権と民主主義が実現する社会を目指していくようになって、それに反する政治を批判するようになることを恐れたからだと思います。

 都教委や右派が、いやがった・・・もちろん、正直にそんなことを彼らが言葉で言ったわけではありませんけれど・・・生徒達の意見を少しご紹介します。



●私は中国の反日感情(韓国の人の反日感情は、つい、最近、歴史を学んで知りました)が、なぜ、あそこまですごいのかも不思議でした。でも、歴史を学んでいくうち、中国・韓国の人たちには、謝りきれないようなことをしてきたことが分かってきました。
そして、歴史の教科書には、中国・韓国の人たちに日本がしたことが軽く触れる程度にしか書かれていないこと、増田先生が教えてくれなければ、自分で書店に行って本や資料を買わない限り、侵略の内容が分からないことに驚きます。同時に、私は日本政府の人たちは、頭、悪いんじゃないか? と思いました。なぜなら、本当に賢い人は『真実を、きちんと徹底的に教える』と私は考えるからです。皆さんは、どう思いますか?

●なんで、真実を子どもたちに教えないのですか? 日本が過去に行ったアジア侵略という悪いことは、まぎれもない真実ですよね? それを隠してどうなるんですか? 私は歴史は好きだけど、時々「なんで昔のことなんか分かんなくちゃいけないの? 『今』生きてるんだから、『今』のことが大事じゃん?」って思ってました。でも、増田先生の授業で、昔、日本がアジアでしたことをビデオで見て、最初は「気持ち悪い。なんで、こんなの見なくちゃいけないの?」って思ってました。けど、日本が過去にやったことをきちんと認めて、私たち子どもに教えてくれることで、少しは、「あんなことはもう二度と起こしてはいけない」と子どもたちが思うようになるのでは? と思います。その気持ちを持つだけでも大切だと思うので、やっぱり、日本に都合の悪いことでも真実を教えるべきだと、私は思います。

●ノ・ムヒョン大統領へ。私は、今まで、日本の、本当の歴史を知りませんでした。しかし、この一年間、増田先生の授業を受け、本当に、日本がアジアでしたことを知り、初めはショックでした。しかし、これらの事実は、これからの日本の未来を作ってゆく中学生の責任として、きちんと見つめ合っていかなければいけない問題なのだと思います。
そして、もっと教科書には載っていない本当のことを、きちんと調べ、日本は何をしたのか知った上で反省をし、日韓両国が、一日でも早く本当の和解ができるよう、一人の力だけではどうにもなりませんが、こうした、日本がアジアでしたことの真実を他の人にも伝えていけば、真の和解ができるのではないと思います。だから、私たち中学生はこれからも、もっと日本の過去の歴史の真実を学んでいきたいと思っています。

●今の僕たちが生まれる前の話だけど、朝鮮の人々が起こした三・一運動の原因を作ったのは我が日本人だった。日本人が、自己の利益のみの目的で勝手に他国を侵略してしまったことを、すごく残念に思う。とても悲しいわが国の歴史の一つである。さらに悲しいことは、日本人が何十年たった今でも、過去の過ちを認めず、『本当の謝罪』をしていないこと。これは一番いさぎ悪く、とても失礼なことだと思う。現在、日本では、日本が朝鮮の人々にした拉致などに比べれば少数の日本人を拉致され、大きな問題として受止めるのも大切だけど、何十年も前に日本人が、殺したり、精神的に傷を負わせた朝鮮の人たちへのざんげを今一番必要としていて、日韓両国の関係、『真の和解』を回復することが大切だと思う。隠し事はよくないと思う。

● 私は、韓国の人たちは、日本のことを、あまり良く思っていない、と思っていました。日本は朝鮮を植民地支配など、韓国の人々に対して、とてもひどいことをしていたからです。日本人も拉致問題などでつらい思いをしているけれど、韓国の人たちは、それ以上に傷ついていたのだと思います。でも、この演説を読んで、韓国の「国民もフランスのように寛大な隣人として、日本と共になりたいという願いがあります。」と思っていてくれたことを知り、少し嬉しかったです。そして、日本と韓国を、これから良い関係にするために、日本は韓国にきちんと謝るべきだと思います。文化の交流もさかんになってきているので、これを進めていって、お互いの国の仲がよくなるといいと思います。

● 私は「手紙」というと書きにくいので、素直な感想を書きます。とにかく、この演説を読んで分かったことは、韓国の人は、ただ反日感情を持っているだけではない、ということです。演説の中に「私は拉致問題による国民の怒りを十分に理解しています」という文がありました。これを読んだ瞬間、なんだか、韓国国民の抑えた怒りを無視しているような感じの日本が恥ずかしく思えてきました。日本はなぜ、素直に過去の悪いことを認めて反省することができないのか分かりません。



 さて、この紙上討論プリントを、自分の子どもから出させて読んだ靖国神社関係者でPTA副会長の一人の父親が、都教委にこれを「偏向教育」として送付したことから「事件」となったのです。彼は、現在も、戦前の皇国史観論者として有名な学者の信奉者です。 都教委は飛びついてきました、私の大統領宛手紙に以下のような文面があったからです。

 『情けないことではありますが、04年10月26日の我が東京都議会文教委員会において、古賀俊昭という都議会議員(自民党)は言っています。「(日本の)侵略戦争云々というのは、私は、全く当たらないと思います。じゃ、日本は一体どこを、いつ侵略したのかという、どこを、いつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたいというふうに思います。」(文教委員会議事録)などと、国際的には恥を晒すことでしかない歴史認識を得々として嬉々として披露しているのが我が日本国の首都の議会なのです。
 横山洋吉教育長以下、東京都教育委員会は、これに対し何の反論もしませんでした。

 というより、大いに共鳴しているのでしょう。侵略の正当化教科書として歴史偽造で有名な扶桑社の歴史教科書を「生徒たちに我が国に対する愛国心を持たせる一番良い教科書」などと公言して恥じない人たちですから。

 古賀都議その他の歴史偽造主義者達が「日本は一体どこを、いつ侵略したのかという、どこを、いつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたい」なら、「一度」韓国独立記念館や南京大虐殺記念館に行ってみたらいいのです。「具体」例が、「聞いて」みるまでもなく眼前に展開しています。「歴史を反省しない国」と他国の人から言われることは屈辱ではありますが、残念ながら「そんなことはありません」と言い切れぬ現実があり・・・』

 この部分が「特定の公人名を挙げ」「特定の出版社名を挙げ」ているから「不適切」で「地方公務員法で禁じる信用失墜行為」であるとして、私は05年8月30日付で昇給延伸処分を受け、同年9月1日付「長期研修命令」で学校から追放されたわけです。
通常は『歴史の歪曲』とか『歴史修正主義』という言葉を使いますけれども、私は、これでは生ぬるく『歴史偽造主義』と呼ぶべきだ、と考えています。『侵略』というあったことをなかったことに作り変え、『日本によるアジア解放』という、なかったことをあったことに作り変えるのですから『偽造』です。
 都教委は、この、侵略正当化・歴史偽造教科書として国内外で大問題になった扶桑社歴史教科書が大好きです。教育長をはじめ6人全員の教育委員が「生徒に一番良い教科書」と主張しています。
こちらでお聞きしましたら、「教育長も教育委員もみんな選挙である」と聞いて、日本よりも民主化が進んでいると思いました。日本では知事が教育委員を任命するので、東京では極右の石原慎太郎と知事と全く同じ考え方の人物が教育長に任命され、扶桑社の教科書が大好きなわけです。
 しかし、日本の「侵略と植民地支配」は05年8月15日の小泉首相談話にあるように、日本国政府の公式見解です。これを否定する公人による公的場における発言、および世間に知られた出版社による侵略否定の教科書こそが、客観的には極度に「不適切」そのもの、ではないでしょうか?
 扶桑社教科書はアジア侵略の思想的基盤になった皇国史観に基づいており、日本の「侵略と植民地支配」を、「自衛とアジア解放の戦争をした。日本は良い植民地統治をした」などと歴史を偽造する教科書で、とても正しい歴史認識を生徒達に育むことはできません。
 このような「教科書」で育った生徒達は、国際社会の中での常識を身につけることができず、真に国際協調していくことができなくなる、とんでもない教科書だと思います。歴史を教える教師としては、とても使うわけにはいかないもので、教科書としては失格です。このようなものを「教科書検定合格」させた日本政府・文部科学省の責任は重大だと思います。
 ところが都教委は、客観的には「不適切」な、侵略否定発言や侵略正当化教科書を「一番良い」とする自分たちの立場を「適切」とし、教員に対する処分権、研修命令権を持っていることをいいことに、それを勝手気ままに濫用して、自分たちを批判する教員を処分し「悪い授業をする教師」として「授業改善を命じ」学校から排除したのです。
 その「研修」の実態は、東京教教育委員会によるイヤガラセであり、監視と統制です。壁に向かった机と椅子、常に監視の職員が私の後ろの机と椅子に座っています。トイレに行く時にさえ監視の職員に言わなくてはならない「収容所」の中で、監視が中座したすきに、彼らが記入している「増田用背面監視日誌」のファイルを見ました。「9:49〜10:02 離席」というふうに私がトイレに行った時間まで、ご丁寧に記入してあり「16:04〜16:08 携帯に電話あり、礼を言っていたもよう」とまで書いてありました。
 私への処分を要請する都教委への「報告書」を開示請求してみましたら、これが、なんと「ファイル無断持ち出し」として今回の免職処の理由の一部になりました。そして「人権侵害」として抗議文を書いたことが「職務専念義務違反」!? として免職処分の理由の一部になりました。こんなことが「民主主義」の憲法を持つ日本という国で日常的に行われていたのです。でも、私が、どんなに訴えても日本のマスメディアはとり上げてくれませんでした。これは現在でもそうです。

 その「研修」の中で、私に対して『指導』と称して行われたことは「ビデオ『侵略』を授業で見せるな」とか「検定済み教科書は全て正しいのだから扶桑社教科書を批判したことを反省せよ」というものです。

 「ノ・ムヒョン大統領の演説の全文を載せた教材プリントを生徒に配布し、ノ・ムヒョン大統領に手紙を出す、といった教育を行った理由及び教育公務員としてのあなたの考えについて述べなさい。」というのもありました。

これは「大統領の手紙を教材にして授業したことを『悪い授業をした』と反省しろ」というものなのです。

 これは、もう、教育内容・思想信条にズカズカと踏み込むものです。日本が本当に民主主義の法治国家ならば、このようなことは許されるはずもないことなのです。

 ですから、私は長文の報告レポートで反論し、教育内容への介入や歴史認識改変強要を断固として6ヶ月間、拒み通しました。その結果、正しい歴史認識・教育内容を、誤った歴史認識・教育内容に改めないことを「反省がない、改善が見られない」として都教委は私を解雇したのです。
 
けれども、生徒達は、私を次のように励ましてくれます。



●何で増田先生がクビなんですか?! おかしいじゃないですか! なんで○○君のお父さん一人の苦情で増田先生がこんな目にあわなきゃいけないんですか? 都教育委員会はどうかしてます! 石原慎太郎はなにしてるんですか?
先生の教育のどこが悪いんですか? 正しいことを教えようとしているのに! 過去の過ちを認めないどころか肯定しようとする都知事を、どうして都民は支持するのでしょうか? みんな騙されているだけです! もっと、この問題が大きくなれば、都民も都知事のバカさかげんがわかるでしょう。僕は応援しつづけるので、これからも頑張ってください。

● 先生の免職処分の話を聞いて本当にびっくりしました。教育委員会は生徒の何を基準に先生を『悪い先生』と決め付けているのかよく分かりません・・・。
 でも、先生に宛てられた励ましのメールを見て、こんなに先生のことを応援している人がいるんだと分かって、本当に嬉しく思いました。九段の生徒の中にも同じ考えの 人がいてよかったです。
 今、教育委員会の処分の話を聞いて自分のことのように悔しいです。先生が悔しいときはその悔しさを分け合えるように、先生が悲しいときはその悲しみを分け合えるように、いつも応援しています。先生も私たちがいつも応援しているということを忘れないで、嬉しいことがあったらその喜びを分けてください! これからも納得のいかないことに断固として戦って正義を貫いてください!!!!

●紙上討論は、文章が苦手な私にとっては、とても辛いものでした。戦争や原爆のビデオを見たりして涙したこともありました。でも、そのときは大変でも、今、振り返ってみると、紙上討論のおかげで、自分の意見が言えるようになり、友達の考えを知ることができました。あれらのビデオを見たおかげで、教科書では学べない真実を知ることができました。増田先生の授業で無駄になったことは一つもありません。一年半という短い期間しか授業を受けられなかったのは、とても残念ですが、この貴重な体験を大切にし、将来、自分の子どもにも真実を教えられる先生のような人間になりたいと思います。いろいろと大変だろうと思いますが、どうか御体に気をつけて元気で頑張ってください。



 しかし、もちろん右派メディアの代表的新聞や週刊誌である産経新聞とか『週刊・新潮』などは『とんでもない偏向教師をやっとクビにできた。よかった、よかった』と大喜びの記事を流しました。そして日本では右派以外のメディアの新聞やテレビは、私がどんなに取り上げてくれるように訴えても『黙殺』することによって右派を助けています。
 韓国では今「竹島問題, 小泉首相の靖国神社参拝問題, 歴史教科書偽造問題等」で日本の軍国主義化に危惧の念を持っていらっしゃる方が多いかと思います。これらに対しては、私は『日本は歴史を反省しない国』と自ら証明してしまったものである、と本当に情けなく、恥ずかしく思っています。
 歴史の事実を教えるという当たり前のことをし、侵略否定・正当化の政治家や教科書を批判するという当然の職責を果たした教員である私が『教師不適格』として解雇される、そして、日本の『良識がある』と言われているメディアが、これを問題にしない、という状況は、日本の時計が1930年代に巻き戻っているのではないか、と思わせます。
 しかし、1930年代と決定的に違うところは、韓国・中国等アジア諸国がある意味で日本以上に力を持ってきていることです。国際社会は絶対に日本が完全に1930年代に戻ることを許さないでしょう。
 4月25日の朝日新聞朝刊に、金大中前大統領のインタビュー記事が載っていました。インタビュアーの「アジアの中での日本の姿をどう見ますか」という質問に、次のように答えていらっしゃいました。
 「周辺国から信頼されないどころか、ますます右傾化している。一番心配なのが若い国会議員や若い世代だ。過去に日本が何をしたか知らないから反省できない。だから本当の謝罪がない。」「『いつまで昔のことを言っているのか』という態度では、反日的な空気が出ても、止める勇気も意欲もなくなる。米国と手を握れば大丈夫という態度も印象を悪くしている。『もっとアジアの友人になる努力をすべきだ』という方向に変わるかどうかで将来が決まるだろう」
 本当におっしゃる通りです。『過去に何をしたか』を知らなければ「反省できない。だから本当の謝罪がない。」「『いつまで昔のことを言っているのか』という態度」になってしまうのも当たり前といえ、これではアジアの真の友人にはなれるはずがありません。
 ヨン様やジウ姫は、とってもチャ−ミングで、日本でも韓流スターは大人気です。私は、イ・ビョンホンのファンですけど!
 しかし、過去を知らないでいては、いくら韓流スターに夢中でも『真の友人』になることはできないと思います。
 きちんと過去の『侵略と植民地支配』の真実を知った時、私の生徒達のように『反省でき』るし『本当の謝罪が』できるのです。そして、その時初めて『心の障壁』が取り除かれ、日本は真にアジアの友人になれるのではないでしょうか。
 日本軍性奴隷、いわゆる従軍慰安婦の授業をした時、女子生徒の一人は次のような意見を書きました。「『あなた達は汚れてなんかいない!』と、私は言いたい」と。私は、この優しい意見を読む時、どうしても涙を抑えられなくて困ります。
 日本の子ども達も、まだまだ棄てたものではないのです。どうか、日本人全てがダメだと思わないでください
・・・ダメなのも確かに多いのですけど・・・
 私は『免職処分取り消し裁判』を闘っていき、なんとしても教壇に復帰し、日本の子ども達にこれまでのように正しい歴史認識を育てたいと思います。しかし、ご存じと思いますが、日本の裁判官は行政の意に沿う判決を出すことに決めている状況がありますので、楽観はできません。
ですから、日本国内はもちろん、韓国の方々や中国の方々など、できるだけ大勢の人達に、この『解雇』の不当性を訴え、ともに闘ってくれるように呼びかけていきます。皆さんお忙しいでしょうが、どうぞ、私の運命に対しても関心を持っていただきたいと思います。
過去を忘れるために『未来』を持ち出すのではなく、『過去を直視』した上で、より良い未来を築くために『不正を正していけるよう』に連帯していきましょう!
 本日は、長時間、拙い話を聞いていただき、本当にありがとうございました。