都教委の「認識」能力!? 07/10/2

 昨日の「不当免職取り消し」裁判には、お忙しいところ、大勢の方にお越しいただき、たいへん、ありがとうございました。こちらの準備書面の結論部分(全文はリンク先参照)と都教委の反論をご紹介します。

『 結論
 以上みたとおり、扶桑社の「つくる会」教科書が、今日の歴史学の成果を真っ向から否定するものであり、歴史を歪曲、偽造したものであることは明らかである。これに対し、原告が、公立中学の社会科教師として、誤った歴史認識をもって日本国憲法のありようを否定しうとする「教科書製作会社」があることを生徒達に教えることは、憲法及び教育基本法の趣旨からして、何ら「不適切」なものでないこは余りにも明らかである。

 扶桑社は、社会科の教科書を制作出版している会社である。その教科書の内容が憲法及び教育基本法の趣旨に反しているような場合、これを批判することは社会科教師である原告にとって権利であるとともに責務である。
 
 したがって、本件処分は、本件プリントを使用した紙上討論という正当な授業内容に対して教育委員会が介入するという憲法第26条、教育基本法10条が禁止する不当支配に該当するとともに、学校教育法28条、同法40条にも反する違憲違法なものである。さらに、処分権の逸脱濫用にあたることもまた明白である』

 しかし、個人情報漏洩の「地公法34条・公務員の守秘義務違反」(1年以下の懲役又は3万円以下の罰金)の犯罪行為を犯しても「都教委は良いのだ」!? と、都議会で教育長が答弁するというコンプライアンス(法令順守)精神欠落、法規範意識欠落、道徳心欠落、「真っ当な判断力」を欠落させている都教委ですから、以下のような噴飯ものの反論を裁判所に提出しました。

 「『歴史偽造主義者』等の文言(表現)は・・・対象者が中学3年生であり、「大学教育の場合には、学生が一応教授能力を備えているのに対し、普通教育においては、児童生徒にこのような能力がなく、教師が自動に対して強い影響力、支配力を有すること」(最高裁旭川学テ判決)を考えれば、不適切な文言であることは明らかである・・・

 上記文言は、客観的に見れば、特定の歴史観のみが絶対的に正しく、それと異なる歴史認識は間違いであるとしてA都議およびB社を一方的に非難するものであって誹謗と評価できるものであることを付言する」!?

 要するに、以下のようになるのですね。

「扶桑社『つくる会』教科書および都議・古賀俊昭の『アジア・太平洋戦争は侵略戦争ではなく、自衛の戦争、アジア解放の戦争』という主張を『歴史偽造主義』ということは、客観的に見れば、『あの戦争は侵略戦争であった』という特定の歴史観のみが絶対的に正しく、それと異なる『あの戦争は自衛の戦争、アジア解放の戦争』という歴史認識は間違いであるとしてA都議およびB社を一方的に非難するものであって誹謗と評価できるものである」!?

 都教委と異なり、通常の判断力を有する人ならば、これが、実に滑稽な日本語文章であることは『余りにも明らか』!?でしょう。

 さて、裁判官の「歴史認識能力」は、いかがなものでしょうか?
 次回裁判は12月10日(月)午前11時半〜722号法廷です。年末の多忙な時期の平日の午前中という悪条件ですが、傍聴参加、よろしく!

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