ワールド・ワイド・ニュース、日本より『ノ・ムヒョン大統領への手紙』事件(カッコ内は、増田の補充)
韓国MBCテレビ 05年11月18日深夜放映(19日、午前0:00〜) |
・キャスター
エイペック通常会談も終りました。日本の小泉総理は会談のために訪韓中です。しかし、韓日の政治高官の今回の出会いも、韓日間で正常化されていない歴史的問題の解決に結びつくかは、依然として疑問です。小泉総理の右傾化の傾向が日毎ひどくなっている様子が懸念されているためです。
去る10月末、東京都教育委員会に懲戒処分を受け6ヶ月間教壇に立てない一人の女性教師が(有楽町の外国特派員協会で)記者会見を開きました。(MBC日本特派員の)オ・サン・クァンが彼女に会ってきました。彼女が受けた懲戒処分の理由は驚くべきものでした。それは、ノ・ムヒョン現大統領に送った一つの手紙からでした。
(音楽)
(増田の出勤風景・ナレーション)
・東京目黒の研修センターまで千葉の自宅からバスと電車を乗り換え2時間近く立ちっぱなしで出勤する増田先生の身体は、すでにクタクタになっています。そして、そこまで向かう足取りが重くなるのには理由があります。
(増田の言葉が入る・ナレーション)
・午前9時から午後5時45分まで、本を読みレポートを書く単純で統制を受ける生活、自由に動けるのは12時の昼食時間だけです。それも12時15分にならないと外出できないので、屋上に上がって軽く体操をし、その時間に出かけます。
昼食時間45分の短い自由!? 昼の45分間、彼女は一人で小さな公園を見つけ簡単に昼食をすませます。
(増田の公園での昼食風景・インタビュー)
(ナレーション)
・中学校で社会科の歴史を教える増田先生は、生徒達が歴史と社会現象について自分なりの考えを持てるよう紙上討論という授業方法を用いています。一つのテーマを決め、生徒が意見を書き、それを集め、お互いの意見を比較します。原爆問題、日本の戦争責任というかなり重い問題を扱うのですが、3月にはノ大統領の3・1記念演説を紙上討論のテーマにしました。
(大統領演説を扱った理由を増田が語る場面)
(ナレーション)
・(増田先生は)生徒達が(大統領)3・1節記念演説を読み、「ノ大統領へ送る手紙」というテーマで、作文を書くようにしました。
もちろん彼女も大統領宛手紙を書いたばかりでなく、(生徒達の手紙とともに)その手紙も東京韓国領事館に送ったのです。ところが彼女の手紙の内容に「(東京都議会で)石原都知事(の仲間の都議会議員・古賀俊昭)が『日本は他国を侵略したことがない』と言った」ということで、実名を挙げた部分がありました。
増田先生が通っていた九段中学校は靖国神社から100M離れた場所にあります。(靖国神社奉賛会会員である)保護者の一人が子どもの持ち帰った(紙上討論のその)プリントを見て、教育委員会に報告し、それが懲戒処分の対象になったのです。
(千代田区教委の、たぶん、酒井指導室長の電話インタビューが入る。
「増田先生が、自分の意見=私見を子どもに語ったことが問題だ。(『侵略したことがない』と都議が、都議会で発言するなんて)けしからん、と。(生徒に教えたなんて、けしからん)」!?
これは、処分&現場外しの処罰に値する悪事!? だ、と、酒井=都・区教委は言うのである・・・増田)
(増田の語り)
(ナレーション)
・増田先生に対して同僚教師の80%以上が支持を寄せ、研修処分の取り消し審査を裁判所に申し立てましたが、裁判所は却下しました。
(増田の語り「『(裁判所の研修取り消し判決を得て)正義が勝ちました』と生徒に教えたかったんですけど・・・」)
(ナレーション)
・しかし、彼女は「教育委員会は自分の大統領宛手紙を処分の理由にしているけれど、それより深刻に受止めなければならないのは、生徒達の意見の文章である」と言います。(真の処分理由は、教育委員会や右翼が)隠したがっている日本の過去を生徒達が直視していることだったからです。
(増田の語り「極右の石原知事と東京都教育委員会と右翼の都議会議員が・・・」)
(ナレーション)
・東京都教育委員会は、2003年10月、学校行事のおりに国旗掲揚と「君が代」斉唱の義務化を強制しました。その後、歌わなかったり立たなかったりした、という理由等で教師達を懲戒処分しました。2年間に数百人が処分を受け、それに対して彼らはその処分取り消し等の裁判を何回も行っている、という状況です。
(「日の君、解雇訴訟」の金子さんへのインタビューが入る)
(ナレーション)
・ところで、東京都の(教師に対する)処分が多い理由は、6名の教育委員会の委員の全てを石原都知事が(自分と同じ考えの人物を)指名するためです。
(「市民の党」の都議会議員、伊沢けい子さんへのインタビューが入る)
(ナレーション)
・紙上討論授業の内容問題に関して、すでに99年からの2年半という間、研修処分を受けた彼女は、授業を通して生徒達の考える力が育っていく姿を見る時が一番嬉しいと言います。そして1997年の卒業式で一人の生徒が読んだ卒業の言葉(これは生徒達の卒業式実行委員会が「3年間で一番、印象に残っていること」というアンケートを取って「紙上討論で、とても成長できた」と書いてくれたもの!・・・増田)が彼女にとって最高の宝物だとも言っています。
一日も早く学校に戻りたい彼女は、最近、いろいろな集会を回るのに忙しいです。日本の言論界・マス・メディアと裁判所が、何の助けにもならなかったから、自ら立ち上がり、集会で自分の悔しさとやり切れなさを訴えているのです。
(増田の全労協の集会での発言風景が入る)
(ナレーション)
・現在、闘いが繰り広げられている中で、彼女が一番慰められたのは、生徒達からの激励のメール・手紙でした。彼女が早く教壇に戻りたい理由も、また、その生徒達のためです。
(生徒のメールを読み上げる増田の言葉が入る「私は、『増田先生の代わりの先生』ではなく、増田先生に教わりたいのです」・・・増田、涙・・・)
・キャスター
生徒達の正しい歴史認識を育てるための一人の教師の努力が「教権剥奪」という結果に及んだこの事件を見て、日増しに右傾化に向かっていく日本社会の一断面を見ているような感をぬぐえません。増田先生は、すでに2回も同様の懲戒処分をうけているのです。
「なぜ、そうまでして苦しい闘いをするのか?」という問いに、彼女は「生徒達に真の歴史と真実を学ばせることが教師として生きていく自身に課せられた至上課題だ」と言います。
<紙上討論(ほんの一部)>
*日本はアメリカに原爆を落とされたのに、反アメリカ感情が、あまりないのが不思議でした。それと同じように、中国の反日感情(韓国の人の反日感情は、つい、最近、歴史を学んで知りました)が、なぜ、あそこまですごいのかも不思議でした。でも、歴史を学んでいくうち、アメリカ(GHQ)が、連合国と日本の講和条約の時に、日本に巨額の賠償金を課させないようにしたことなどが、日本人がアメリカを受け入れるのにつながったこと、また、中国・韓国の人たちには、謝りきれないようなことをしてきたことが分かってきました。
そして、歴史の教科書には、中国・韓国の人たちに日本がしたことが軽く触れる程度にしか書かれていないこと、先生が教えてくれなければ、自分で書店に行って本や資料を買わない限り、侵略の内容が分からないことに驚きます。同時に、私は日本政府の人たちは、頭、悪いんじゃないか?
と思いました。なぜなら、本当に賢い人は『真実を、きちんと徹底的に教える』と私は考えるからです。皆さんは、どう思いますか?
*ノ・ムヒョン大統領へ。私は、今まで、日本の、本当の歴史を知りませんでした。しかし、この一年間、増田先生の授業を受け、本当に、日本がアジアでしたことを知り、初めはショックでした。しかし、これらの事実は、これからの日本の未来を作ってゆく中学生の責任として、きちんと見つめ合っていかなければいけない問題なのだと思います。
そして、もっと教科書には載っていない本当のことを、きちんと調べ、日本は何をしたのか知った上で反省をし、日韓両国が、一日でも早く本当の和解ができるよう、一人の力だけではどうにもなりませんが、こうした、日本がアジアでしたことの真実を他の人にも伝えていけば、真の和解ができるのではないと思います。だから、私たち中学生はこれからも、もっと日本の過去の歴史の真実を学んでいきたいと思っています。
*ノ・ムヒョン大統領へ。確かに、ノ・ムヒョン大統領が3月1日の演説で言っていることは、「言えてる」と思います。日本は、過去、アジアで悪いことをしてきたのに、その事実を国民(子ども)に教えないということは、とても恥ずかしいことだと思います。ノ・ムヒョン大統領、日本の過去の事実を教えてくださって、ありがとうございました。
*C組15の『僕は、愛国心がありまくりの人じゃない方がいいだろうと思う。「愛国心な さ過ぎもいけないと、少しは思うけど、右翼の「愛国者」よりかマシだと思うよ。「国 のために死ね」って言われたって、死ねるかっ、ての・・・』と言う人へ。私も、最後 のところに賛成です。「国のために死ぬ」のは右翼の人だけでいいと思う。
* ノ・ムヒョン大統領演説を読んで。今の僕たちが生まれる前の話だけど、朝鮮の人々が起こした三・一運動の原因を作ったのは我が日本人だった。自国の人間ではない他国の日本人が、自己の利益のみの目的で勝手に他国を侵略してしまったことを、すごく残念に思う。とても悲しいわが国の歴史の一つである。さらに悲しいことは、日本人が何年十年たった今でも、過去の過ちを認めず、『本当の謝罪』をしていないこと。これは一番いさぎ悪く、とても失礼なことだと思う。現在、日本では、日本が朝鮮の人々にした拉致などに比べれば少数の日本人を拉致され、大きな問題として受止めるのも大切だけど、何十年も前に日本人が、殺したり、精神的に傷を負わせた朝鮮の人たちへのざんげを今一番必要としていて、日韓両国の関係、『真の和解』を回復することが大切だと思う。隠し事はよくないと思う。
*C組15の『僕は、愛国心がありまくりの人じゃない方がいいだろうと思う。「愛国心な さ過ぎもいけないと、少しは思うけど、右翼の「愛国者」よりかマシだと思うよ。「国 のために死ね」って言われたって、死ねるかっ、ての・・・』と言う人へ。私も、最後 のところに賛成です。「国のために死ぬ」のは右翼の人だけでいいと思う。
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