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第二次平和教育攻撃事件=九段中「ノ・ムヒョン大統領への手紙」事件 増田都子
誤った歴史認識を批判し、正しい歴史認識を育む東京の教員は解雇される!?

私は、教員歴33年で千代田区立九段中学校の社会科教員だったが、東京都教育委員会は私を突然「分限免職処分」する、という「暴挙の見本」にすべき攻撃、連中にできうる最大最悪のイヤガラセをしてきた。去年8月30日付で「不適切な文言」を教材プリントに書いていたからという理由で「戒告処分」を受け、9月1日付で「長期研修処分」として授業を剥奪された。そして「命令研修期間最終日」の本年3月31日、私が「研修中」の東京都教職員研修センターの部屋に千代田区教委の男が「発令するから来てください」と言ってきた。

「ここに持ってきてください。私は犯罪都教委に付き合っているほどヒマじゃないから。そしたら受け取ります」と私は言ってやった。すると「では、自宅に届けます」というのである。そこで勤務時間終了の午後5時45分に水道橋の東京都教職員研修センターというラーゲリを出て午後6時45分に我孫子の自宅に帰り着き、郵便受けに入っている切手なしの文書を開封したら、「分限免職」という文書が出てきた次第。わざわざ東京都教育委員会職員が、税金を使って東京から千葉県の我孫子の私の自宅までやってきて郵便受けに投げ入れていったのである。

さて、私は、どんな悪いことをした教員だったのだろうか? 私は、去年6月、公民的分野学習の一環として、同年の「ノ・ムヒョン大統領3・1演説」を教材に取り上げ、生徒達に手紙や意見を書かせ、私も手紙を書いて発表し合う紙上討論授業をした。この紙上討論プリント教材を読んだ靖国神社関係者でPTA副会長の保護者が、都教委にこれを送付した。彼は、戦前の超国家主義者・皇国史観論者の平泉 澄の信奉者だった。
都教委は飛びついてきた、私の手紙の中に「不適切な文言」があったと。

 それは、古賀俊昭都議(自民)の「日本は一体どこをいつ侵略したのか?」という都議会発言と、アジア太平洋戦争を「自存自衛」と美化する扶桑社の歴史教科書とを引用し、「歴史偽造」と批判したことだ、と都教委は主張している。これが「誹謗中傷」なんだと!? しかし、戦後50年の村山首相声明、戦後60年の小泉首相声明による日本政府の国内外への公式声明に照らすなら、古賀発言・扶桑社教科書こそが事実に反する「不適切」なものであり、まさしく「歴史偽造」そのものだろう。

しかし、「研修」で課せられたテーマは、「ビデオ『侵略』を授業で見せるな」「検定済み教科書を批判したことを反省せよ」など、教育内容・思想信条にズカズカと踏み込むものだった。私は長文の報告レポートでひとつひとつ、都教委の無根拠に反論し、教育内容への介入や歴史認識改変強要を断固として拒んだ。それが連中にとっては「反省しない」「改善が見られない」ということなのである。要するに都教委の連中は、「批判」と「誹謗中傷」の違いさえ分からない程度の知(痴!?)的レベルなのだ。連中にとっては、自分たちを「批判される」ことは「誹謗中傷」で、自分たちが私を「公務員不適格」というように「誹謗中傷」することは、いくらやってもかまわない!? わけである。「権力」を持たせるには完全不適格な連中が、不幸なことに都教委を乗っ取っている。

「研修なるもの」の実態は? と言えば常に背面監視の「指導主事」が部屋の入り口に机と椅子を置いて、壁に向けられた私の机の後ろの位置に張り付いていた。いつかマヌケな見張り番が中座したすきに、彼らが記入している「増田用背面監視日誌」を見た。「9:49〜10:02 離席」というふうに私がトイレに行った時間まで、ご丁寧に記入してあり「16:04〜16:08 携帯に電話、礼を言っていた模様」とまで・・・ 千代田区教委教育長の若林尚夫が私への処分を要請する都教委への「事故報告書」を開示してみたら、これが、何と「ファイル無断持ち出し」とかで処分対象。そして「人権侵害」として抗議文を書いたことが「職務専念義務違反」!? として処分対象。

そして3月31日、頭書に書いた経過で開いてみた「分限免職処分理由書」には、「処分に対し反省も改善も見られないから公務員に不適格」と書いてあった!?

ところで、この教育委員会相手の「研修取り消し」裁判の中で、連中が出してきた準備書面には興味深いことが書かれていた。4月1日からの所属校について「原告(増田)に対しては平成18年3月14日付けで東京都教育員会及び港区教育委員会から、港区立御成門中に異動を命ずる旨の内示が出されていた」のである。もちろん、私は九段中の校長から、この内示について電話で知らされていた。つまり、3月14日には「4月1日から私を御成門中に所属させること」に都教委は決定しており、その後の17日間には何一つ「問題」が発生したわけではないのに、3月31日付で突然、私は「公務員不適格」となり「分限免職」となったわけである。この間に都教委内部で何があったのか? なんとなく極右3悪都議(土屋たかゆき、古賀俊昭、田代ひろし)らの悪臭が漂ってくる!? のだが、真相やいかに?

良識的判断力を持つ人が、この間の経緯を見るなら「公務員不適格」は都教委であって私でないこと、「反省し、改善しなければならない」のは都教委であって私ではないことは、明白だろう。この解雇は、権力による教育内容への介入を禁止した教育基本法十条を蹂躙する違法行為である。私は、今後、裁判闘争など、考えられるあらゆる手段で断固、闘う!