都教委よ、「オリンピック読本」のウソ記述を訂正せよ!

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皆さま
 こんにちは。増田です。超長文、ご容赦を!  東京都学校ユニオンは、昨日、月末恒例の都教委糾弾ビラを都庁前で配布しました。表裏をご紹介しますので本当に長くなってしまい恐縮ですが、 お読みいただければ幸いです。  メキシコ・オリンピック当時、私は18歳で…現年齢が分かりますね(笑)…アメリカの1位と3位になった二人の黒人選手が、アメリカ国旗・アメリカ国歌に対して拳を突き上げた写真はとても印象が強く、記憶に残っていました。でも、2位のオーストラリア白人選手が「人種差別反対」のバッジを付けたために自国で迫害されていた、という事実については、これを読むまで、まったく知りませんでした。  ぜひ『オリンピック・パラリンピック読本』に載せて生徒たちに考えさせてほしいものです。小学生には少し難しいかもしれませんけど、中学生・高校生には、深く考えさせるために、とってもいい教材になると思うんですけどね… ************* <都教委よ、「オリンピック読本」のウソ記述を訂正せよ! これはオリンピック憲章違反だ!> ★小学生用読本に「表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます。」(65頁)とありますが… 都教委は、小・中・高校生用に『オリンピック・パラリンピック学習読本』を約9500万円(以下2015年度決算額)かけ作成し、映像教材DVD(6393万円)、教師用指導書(392万円)、(計 約1億6285万円)と共に、3月末までに都の全公立小中高・特別支援学校等2330校に生徒約95万人分を発送しました。週1時間、年間35時間、学習させるとか… しかし、この読本の内容たるや、なぜか『国旗・国歌』がとても強調されています。見出しにあげた頁以外にも小学生用64頁には「オリンピック・パラリンピック…表彰式では、優勝した選手の国旗をかかげ、国歌を演奏します。」とあります。  東京都教育委員会の方々は、もしかしてオリンピック憲章をお読みになったことがないのでしょうか? 憲章の表彰式の規定は「優勝者の所属する選手団の旗がセントラル・ポールに掲揚され、…優勝者の所属する選手団の歌(短縮したもの)が演奏される」です。(JOCのHP、2014年版には「プロトコル・ガイド」が訳出されてないため、同HP 2003年版「規則70附属細則 1 表彰式」から引用)  五輪憲章は「表彰式では、優勝した選手の選手団の旗をかかげ、選手団の歌を演奏します。」と定めているのです。実際には、ほとんどの各国選手団は「国旗・国歌」を「選手団の旗・歌」としてオリンピック組織委員会に届け出ているため、国旗・国歌を使うのですが、『オリンピック・パラリンピック学習読本』と銘打つもので、オリンピック憲章違反を教えて…つまりはウソを教えていいわけはないでしょう?  なぜ、憲章ではそうなっているのか? これこそがオリンピック・ムーブメントのキモだからです! 「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない。」のです。(憲章「オリンピック・ムーブメント 6、オリンピック競技大会 1」) 「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励すること」(同「オリンピズムの根本原則2」)であって「国威発揚」とか「国のため」などではないからです。まして、国旗・国歌を強制し「人間の尊厳」を侮辱するのは、論外の五輪憲章違反です。 ☆都教委よ、2330校95万人強の生徒に対し、オリンピック憲章違反を読本に記述したことを謝罪し、正誤訂正用紙を送付せよ! ―――――――――――――― <都教委よ! メキシコ・オリンピックでの事実を読本に載せ、生徒に教えよ!> ☆国旗・国歌より、大切なものは?  都教委は巨額の税金をかけて95万人の生徒に五輪読本を配布しました(裏面参照)が、平然と「表彰式では国旗・国歌」などと、五輪憲章に反する記述をしています。  五輪憲章は「何よりも国旗・国歌が大切」などとはしていません。48年前のオリンピックにおける次の事実を五輪読本に載せて、生徒に考えさせたらどうでしょう? ************** 「表彰台での勇気ある行為が原因で、母国で生涯を通して除け者扱いされ続けたオリンピックの銀メダリスト」(イミシン)

 http://www.imishin.jp/peter-norman/ 「表彰台での勇気ある行為が原因で、母国で生涯を通して除け者扱いされ続けたオリンピックの銀メダリスト」より、要約 1968年のメキシコ・オリンピック。男子200メートル競争を、世界記録で優勝したトミー・スミスと3位のジョン・カーロスは、アメリカ合衆国国歌が流れ、国旗が掲揚される間、壇上で首を垂れ、黒い手袋をはめた拳を突き上げました。  このブラックパワー・サリュート(アメリカ公民権運動で黒人が拳を高く掲げ黒人差別に抗議する示威行為)は、近代オリンピックの歴史において、もっとも有名な政治行為として知られています。  2位の選手はオーストラリアのピーター・ノーマン。スミスとカーロスは、その後、長い間、米スポーツ界から事実上追放され、批判に晒されました。白人のノーマンもまた、スミスとカーロスが着けていた「人権を求めるオリンピック・プロジェクト(略称:OPHR)」のバッジを着けていたために、自国オーストラリアでは、歴史から抹消されたかのような扱いを受けました。1972年のミュンヘン・オリンピックでも、選抜で出場資格を得たにもかかわらず、オーストラリア代表から除外され、スポーツ界を引退。 ノーマンは「『スミスとカーロスの行為を人類に対する冒涜だ』と公に非難すれば、許される」といわれましたが、しかし、自分は間違っていないことを知っていた彼は、その申し出を退けました。2006年、ノーマンは心臓発作で亡くなりました。彼の葬儀では、スミスとカーロスが棺を担ぎました。  そして今、スミスとカーロスは人権のために戦った英雄となり、サン・ホセ州立大学には2人の行為を祝して像が建てられています。2012年、ノーマンはオーストラリア政府から正式な死後謝罪を受けました。(字数の関係で大幅に短縮しています。ぜひ、ネットで検索して全文、お読みください)


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16年9月ビラ@.pdf および 16年9月ビラA.pdf
※以上、ホームページ担当者より