改めて、第二次「実教出版教科書」裁判、原告募集!(訴状案あり)

<転載、大歓迎!>

皆様 

 こんにちは。増田です。これは「都教委を訴える会」事務局として掲載しています。超長文…文字通り!?…ご容赦を!


 3月22日に一度お知らせしたのですが、弁護士さんから「そう急がなくても良い」ということでしたので、締め切りは「3月29日まで」でなく、「4月末日」ということにしました。改めて、訴状案をつけますので、ぜひ、ご参加をご検討下さい!



 これは「ハイヤー代、違法支出」ということを中心に、実教出版教科書問題での第二次裁判を行おうとしていますが、この教科書問題は全国的問題…実教出版教科書問題と育鵬社教科書問題はメダルの裏表で一体のもの、前者は「『国旗・国歌、強制』の事実を書いてあるから気に入らない」ので教師に選ばせない、後者は「日本の戦争は自衛戦争・アジア解放の戦争とする『歴史偽造』右翼のお気に入り教科書だから」学校で使うことを強制する、ということ…なのです。

 

 「教科書を教師に選ばせない」という都教委や神奈川県教委等の無法に怒る方、ぜひ、ご参加ください!

費用的には「都教委を訴える会」にご入会いただき、年会費1000円(カンパ、大歓迎!)をお支払いいただければ、必要な手続きはこちらで行います! 訴状案は以下です。

 

郵便振替/加入者名 「都教委を訴える会」 口座番号 00220−4−51543
 連絡先/むさん法律事務所内「都教委を訴える会」事務局
 〒105−0003 港区西新橋1−9−8 南佐久間ビル2F
Tel.03(5511)2600  Fax.03(5501)2601                                                          

 

 参加していただける方は、増田への個人メールか、上記むさん事務所まで、ファックス、又は手紙をお願いします!



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        請  求  の  趣  旨

                          

 1 被告は各原告らに対して、各金10,000円およびこれに対する本訴訟送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

 

 との判決、ならびに第1項について仮執行の裁判を求める。

 

           請  求  の  原  因

第1 当事者

 1 原 告

   原告らは、憲法前文・13・15・19・21・23・26条等や教育基本法等の精神・基本的趣旨に心から賛同し、この立場から、教育問題・教育行政問題とりわけいわゆる「日の丸・君が代」教育問題に強い関心を有している市民であるが、近年全国的に強まっている、教育現場での日の丸・君が代強制の動向について、深い憂慮の念を抱いている者である。

 

 2  被 告 

   被告は、東京都教育委員会がその業務執行上なした不法行為について、国家賠償法1条に基づき損害賠償の責めに任ずべき者である。

 

第2 原告の請求権

 1 東京都教育委員会の違法支出

 (1) 事実の経過

 @  東京都教育委員会は2013年5月7日に、「平成25年5月9日は、東京都教育委員会定例会を開催いたしません。」と告示した。

 

  A ところで東京都教育委員会は、「東京都教育委員会の会議開催における東京都教育委員会委員の輸送について」(2007年4月11日、中村正彦教育長決定)によって、委員会の会議開催日には委員に対してハイヤー代を支給する運用を行っている(これは、根拠無く都民を敵視しているものであって、違法不当である)。

    B しかし、上記@のとおり「2013年5月9日の定例会は開催されない」との告示がなされたのであるから、この日は会議は無く、したがってハイヤー代の支給の必要性は発生しないはずであった。

 

  C  しかるに、東京都教育委員会事務局は同日付で、各教育委員に対して下記のハイヤー代を支払った。その金額は、

・木村 孟  81,860円

・内舘牧子  21,040円

・竹花 豊  35,590円

・山口 香  13,930円

      計 152,420円 

であった。

 

  (2) 上記支出の問題性

 問題性1

 ア 上記ハイヤー代支払の事実を前提とすると、5月9日に教育委員の参加した何らかの会議が開催されたと考えられる。だとすれば、公開原則の定められた定例会を敢えて開催せず、都民を欺罔して秘密会議が開催されたものである。

 

 イ しかも、この会議は極めて重要なものであったと考えられる。けだし、高額のハイヤー代を支払ってまで委員を輸送する理由は、「委員の安全及び教育委員会の確実な開催を確保する」ためとされていたからである。すなわち、前記教育長決定によれば、

    「教育委員会の開催日においては、会議の日時や場所、議案の件等が公表されており、委員としての活動が把握されやすい。

 結果として、委員の自宅から都庁舎までの行程や都庁舎内等での異動において、様々な団体や不特定多数の者が直接、委員に抗議や批判を目的として接触し、周囲を取り囲むような事態が生じることが想定される。」

 

 とされているから、都民の批判・反発を教育委員会事務局が予想するような(そのような予想自体不当であるが)、内容の会議であったということになるがゆえである。

(かかる秘密会議の開催自体、東京都教育委員会会議規則第二条、第三条、第十一条(※)に違背する違法不当なものである。したがって、このような違法不当な会議開催のために支出されたハイヤー代もまた違法である。)



       ※ 東京都教育委員会会議規則

第二条  会議の場所及び日時は、会議に付議すべき事件とともに教育長が予め告示しなければならない。

第三条  委員会の会議は、定例会及び臨時会とする。

第十一条  会議は、公開する。

     ただし、人事に関する事件その他の事件について、教育長又は委員の発議により、出席した教育長及び委員の三分の二以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。



  A 問題性2 

 ア 当該日(5月9日)は「東京都教育委員会定例会を開催いたしません。」と告示されていたため、教育

委員会に於ける委員出席の会議開催については、都民は全く知らなかった。

 イ したがって、

「結果として、委員の自宅から都庁舎までの行程や都庁舎内等での異動において、様々な団体や不特定多数の者が直接、委員に抗議や批判を目的として接触し、周囲を取り囲むような事態が生じることが想定される。」

などということはありえなかったのである。

 それゆえ、「東京都教育委員会の会議開催における東京都教育委員会委員の輸送について」という教育長決定の根拠が充足されていないことは明らかであった(事実、「会議開催」の事実は、つい最近まで都民は誰一人として知らなかった)。よって本件は違法な支出行為であることが明白である。

 

 B 問題性3

 そもそも、「東京都教育委員会の会議開催における東京都教育委員会委員の輸送について」なる教育長決定自体、都民に対し不当な偏見・予断を抱いて、都民を敵視しているものであって、主権者としてその立場を尊重さるべき原則(地方自治法1条・1条の2)に違背したものであって違法である。

       このような決定に基づく本件ハイヤー代の支給は、地方自治法の本旨に違背する違法なものである。

 

(2)  支出目的の違法、及び2013・5・9 〜6・27における都教委の意思形成・決定の違法

@  東京都教育委員会は2013年6月27日の定例会に於いて、全く何の論議もなされないままに、「実教出版(株)発行の『高校日本史A・B』の教科書は、都立高校の教科書として相応しくない。学校管理者は選定してはならない」旨の決議を行った。

 

A 使いやすい教科書として現場で強い支持のある該教科書について、予め学校現場での選定を禁ずる、このような違法措置が取られたことについて、原告らは大きな衝撃を受けたが、この措置の理由とするところを知って、原告らは更に大きな衝撃を受けた。

 

B すなわちそれは、該教科書に「国旗国歌法制定時に、強制はしないと政府説明がなされていた。しかし、一部の自治体には強制の動きがある」との全くの真実が記載されていた事を理由とするものであったのである

 

C 改めて言うまでもなく、そもそも教育の目的は、子ども達が知情意等人間の重要な各面に於いて、しかるべき発達を遂げて、社会の基本的な構成者として必要な心身の能力を陶冶して、自己を完成してゆくことに助成し、また、民主主義社会の主権者として相応しい識見を伸ばしてゆくことを期するにある。

 このためには、各人を取り巻く自然・人文・社会のあらゆる事象について、まず何よりも真実を知らなければならない。厳密な事実の認識を前提として、しかる後に正しい論理作業を自ら行って、より正しい認識・見識が獲得されてゆかねばならない。それゆえ、正しい事実の認識はあらゆる知的作用の出発点をなす重要なものである。真実の認識、これなくしては、正しい認識・見識の獲得は不可能である。このことは、例えば、今次の大戦中に於いて、国家による一元的教育統制や権力・情報機関等による強力な情報統制・一方的情報の刷込み等によって、国民の認識・見識がいかに歪曲され偏頗なものとなり、誤った国策の元に統合され自らこれを担っていったかという歴史一つをとっても明白である。

 

D 以上よりするならば、子ども達にはまず何よりも、真実が呈示されなければならない。子ども達の全ての発達は、まずここから出発するのである。

 だとするならば、例えば、東京都教育委員会がいわゆる10・23通達を発し、これに従った学校管理者が教員に対して、日の丸掲揚に於ける起立・君が代斉唱を、地方公務員法による職務命令を以て命じて来ている現実、そして憲法19条等に基づいてこれをよしとしなかった数百名の大勢の教員に対して、公務員法による懲戒処分を重ねて来たことは、誰もが認める紛うかたなき明白な現実なのであり、真実である(このことについては、今次の都教委議決に関連して、文科省さえも端的に認めている)。



 したがって、都立高校の生徒達には、まずこの真実が基礎的情報として呈示されるべきである。そのうえで、その可否・当否について、生徒自らが様々な議論を自ら咀嚼しつつ考えてゆくべきである。このようにして子供達の知的人格は形成されてゆくのである。

 しかるに都教委の、そうした真実を、ただただ事実として記述した教科書を、実に、そのことをこそ理由にして「教科書として適切ではない」などとなして、権力的に排除した今次政策は、むしろ真実を知らしめないことを旨としたものである。言うなれば、教育現場に於ける一箇の愚民化政策となすべきものである。これは、そもそもの教育の本旨に違背しているものであって、絶対に認められてはならないものである。

 

E ところで、東京都教育委員会は、「日の丸君が代教育」政策について、いわゆる2003・10・23通達などによる「職務命令」という強制を梃子に、日の丸・君が代教育を強力に推進してきた。そのような都教委は、全国の各都道府県教育委員会の中でも極めて重要な位置にある。

  それゆえに、同委員会のこのような措置の影響が憂慮されていたところ、神奈川・大阪・埼玉・千葉等々の各府県に於いて、これに追随するかのような同様の動きが発現するに至ったために、原告らの精神的苦痛は一層強まった。

 

D すなわち例えば神奈川県の場合、2013年には28の県立高校の現場に於いて、この教科書が選定されていたが、しかし県教委からの「再考を」という強い働きかけの結果、これらはいずれも撤回されてしまった。そして2015年にあっては選定は当初から0となってしまった。

 

E また、本年3月18日に高等学校用教科書の検定結果が明らかにされたのであるが、実教出版の「日本史A」に於いては、「一部の自治体には強制の動きがある」の記述が、自ら削除された上で検定合格となったことが明らかとなった。

 

F このように、東京都教育委員会の2013・6・27議決は、様々な形で、「一部の自治体では、日の丸・君が代について強制の動きがある」との真実を、高校生達の目から隠蔽しようと自らなし、またそのような動きを誘発してきているのである。 

 

G ところで、このように重大な決議がなされるについて、6月27日開催の公開の定例会では、一切内容的な討論はなされなかったのであるが、しかし実は、それ以前の非公開の会議に於いてこの決議の内容が事務局から各委員に呈示され、論議されていた事が明らかになった。

  経過からして5月9日に開催されたという会議は、そのような秘密の会議であった事が確実である(それゆえにこそ、秘密会議とし、かつ一方的に都民の「抗議や批判」なるものを慮って、「委員の安全と会議の確実な開催」のためとして、ハイヤー登庁を指示し、代金を支給したのである)。

 しかし、教育委員会に於けるこのような重大な内容の意思形成が秘密会議で行われ、公開の会議に於いては単なる形式的決議のみが行われたことは重大な主権侵害であり、しかもそのような違法会議実施の目的から本件違法支出が行われたことは、大きな問題である。

 

2 原告らの損害

(1) 前記のとおり、原告らは、教育現場での日の丸掲揚への起立敬礼・君が代斉唱について、全国的に強制的状況が進行してきていることについて、それは教育のそもそもの本旨にそぐわず、憲法および教育基本法を始めとする教育諸法に違背しているのではないかとの憂慮を深めてきていたところ、「強制の事実」(これは強制の可否・当否の問題とは別次元の厳然たる事実である)を、現場での評価の高い実教出版の日本史教科書が、事実を報ずるものとして記載したという、そのこと自体を問題にされて、教科書選定・採択の手続から事実上排除されてしまったという事実に、大きな衝撃を受けた。

  その後、都教委のこの措置の波及的効果とみられる事態が各地で進行すると共に、当の実教出版の教科書からもこの記載が消されてしまったという事態の報道に接した。次代を託すべき子ども達から真実を隠蔽するという非教育的事態の一層の進行について、深く憂慮し、主権者として多大の苦しみを感じている。

 

(2) しかも、都教委はこの措置を行うために計画的周到に準備を進めたと見られ、その一として、本件のような違法なハイヤー代支出まで行っていた事を知り、そこまでやられていたのかと改めて大きな衝撃を受け、多大の精神的苦痛を受けている。

 

(3) この苦痛の大きさを金銭で評価することは本来不可能であるが、強いて慰藉料を以て評価するならば、上記「?」について金7000円・上記「?」について金3000円、合計金10,000円を下らないことが明らかである。

 

第3 結 語

      以上よりして、原告らは国家賠償法1条に基づき、東京都教育委員会が行った下記不法行為

 2013・6・27議決による実教出版教科書「高校日本史A・B」に対する違法不当な排除したこと

 

 上記議決をなす目的から、ハイヤー代を教育委員に違法に支給し、かつそこまでして秘密会議を行い、そこに於いて上記議決のための不当な意思形成を行ったこと

 

による損害として、@について金7000円、Aについて金3000円の賠償を求めて、本件訴訟を提起する