実教出版の屈服、執筆者への疑問


皆様

 こんばんは。増田です。これは「都教委を訴える会」事務局としてお知らせしています。長文、ご容赦を。

 件名出版社の高校歴史教科書について、都教委は、脚注に国旗・国歌法に関して「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という記載があるので「教科書として不適切」と定例会で議決し、都立高校の先生たちに「選定するな」と通知しました。その他、神奈川県、大阪府、千葉県などの教委は、都教委のように公の場で「不適切だ、選定するな」という議決こそ上げていませんが、希望した高校に「再考せよ」などと圧力をかけてきました。

 その結果、当該教科書は、都立高校では学校の選定はゼロ、当然、採択はゼロとなり、他でも激減しています。

 そして、今年の検定申請で…件名出版社は、遂に、この脚注を削除してしまいました。ネットでは、朝日新聞と毎日新聞の記事が出ています。
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朝日
http://www.asahi.com/articles/ASJ3H4VGSJ3HPTIL01H.html
  実教出版は記述の変更について、「2014年に変わった検定基準で、最高裁判例に基づく記述が求められている。最高裁は起立斉唱を求めた職務命令を合憲としており、総合的に判断した」としている。

毎日
http://mainichi.jp/articles/20160318/k00/00e/040/230000c
 実教出版の「日本史A」では、国旗掲揚や国歌斉唱について、現行版にある「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記述が消えた。文部科学省によると、検定申請の時点で既になかったという。東京都や大阪府がこの表現を問題視し、現行版の使用に制約をかけていた。
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 実教出版という会社の、ほぼ全面屈服と言っていいのではないでしょうか…日本史B(Aは2単位で近現代史に特化、Bは4単位で古代史〜)には、この脚注は残っているようですが、せめても、というところではないかと…

 確かに、これで、都教委は今年は「実教出版日本史Bについてのみは脚注に同様記載があるので、教科書として不適切(よって、選定禁止)」という通知しか出せませんから、都立高校でも当該出版社の日本史Aを選定する高校も出てきて都教委も採択せざるを得ないでしょう。

 この脚注の記載は、全くの事実ですから、文科省でさえ検定合格=「日本中、どこの高校で使用しても、教科書として適切」としたものなのです。しかし、資本主義社会の企業は、商品が売れなければ潰れます。社員の雇用・賃金にも響くでしょうし…

 ですから、当該出版社の屈服はやむを得ないかもしれない…と思います。

 でも、執筆者たちには、私は強い疑問を抱きます。

 あなたたちは、なぜ、一片の声明や、なにがしかの講師料をもらって何回かの講演…はっきり言って、こういう都教委などのやり方の理不尽さが分かる身内の人たちのみへの…をやるだけで、裁判という公の場において、理不尽に権力を濫用する都教委との闘いに立ち上がらないのですか?…

 執筆者たちは、大学の先生やら高校を定年退職した先生たちのようですから、当該出版社と違い、権力と闘っても特に不利益は生じないと思うんですけど…ま、弁護士さんの費用はかかるでしょうが。

 高嶋伸欣先生は、執筆した教科書の、福沢諭吉「脱亜論」・天皇死去報道・湾岸戦争と情報コントロール(メディア操作)・掃海艇派遣の4つの内容に対し削除を命じた文科省と裁判闘争をなさいました。

 確かに、「行政のイヌ」状態の裁判官が多い現状では…稀には「その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」判決を出される裁判官もいらっしゃいますけど…勝つことはないでしょうが、でも、理不尽な権力者の権力濫用に対し「決して泣き寝入りしないで闘う!」ことを実践することは、この国の主権者である市民の責務ではないでしょうか…

 実教出版歴史教科書の執筆者たちは、結局、教え子たちに「理不尽な弾圧を受けても、相手が強大な権力だったら、泣き寝入りするしかしょうがないんだよ」…と身をもって教えてしまったのではないでしょうか? それでいいのでしょうか?
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 手前みそになりますが、こういう状態の中で、 「実教出版教科書問題に関し、違法不当な東京都教育委員会を訴える会」(略称:「都教委を訴える会」共同代表:佐藤昭夫早稲田大学名誉教授、高嶋伸欣琉球大学名誉教授)の活動は非常に重要だと思います。

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