東本さんに触発され!? 続・ドキュメンタリー映画『"私"を生きる』(監督・撮影・編集/土井敏邦)の評価には負の意味で留保するべき点がある 4/10

皆様
こんばんは。犯罪都教委&1・5悪都議と、断固、闘う増田です!

「ドキュメンタリー」と称する映画『"私"を生きる』(監督・撮影・編集/土井敏邦)の神戸シネマカフェチェリー上映後の岡林さんの感想に対して、東本高志さんの的を射た批判 http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-415.html がありました。それに触発されて、私も考えたところを報告させていただきます。

 東本さんが紹介された市民社会フォーラムの岡林さんの感想は、もしかしたら、全文ではないかもしれませんが、以下のものでした。



「MLでは、『“私”を生きる』と土肥信雄さんについて、いろいろと意見がありましたが、私も直接ご本人と忌憚ない意見交換をして、ネット上やこの映画だけでは分からなかった、教育現場での言論の自由を守るためにたたかっている真摯な思いを受け止めることができました。/私の印象では、映画で描かれた土肥さん以上に、校長として君が代斉唱不起立をした教師2人を報告せざるをえなかった葛藤が、今日の交流会で伝わりました。」

「土肥さんは卒業式の前に、組合と話し合いして、不起立を決意している教員のリストを知らせてもらって、その人たちは処分されないように式外の要員にまわすことを合意していたとのこと。でも、不起立をした一人は組合との話し合いの情報を知らず、組合が把握していなかった。もう一人は、担任として式に出て不起立することはわかっていたが、通報もなく、かつ本人も不起立を否認したら、土肥さんは都教委に報告するつもりはなかったと。結局、不起立の報告があった。でも、本人が否認してもらえれば、報告しなくて済む。でも本人が認めているならば、法令順守して報告せざるを得ない。(起立したと言ってもらったよかったのにと)/本当に葛藤があったことを強調されていました。/都教委に報告する前にも、処分対象になること二人の教員と事前に話し合い、都教委の審議会でも二人の教員の処分は不当であると報告もした。その一人とは今でも話をする関係を保っている。」(市民社会フォーラムメーリングリスト 2012年4月1日付けより)


 先ず、土肥校長が「都教委の審議会でも二人の教員の処分は不当であると報告もした。」とあるのには、首をかしげてしまいました。土肥校長が「校長である自分が出した職務命令に違反したから厳正に処分してほしい」と「事故報告書」を書いて都教委に提出して「都教委に処分させた二人の教員」について、その土肥校長自身が出席する「都教委の審議会」で、その「二人の教員の処分は不当であると報告もした」って!? そんなことが「事実」として、有り得ますかねぇ?

 だいたい「都教委の審議会」なるものなど、初耳ですしねぇ・・・でも、まぁ、それらしい会議があったとして、土肥元校長が、それらしいことをその中で言われた、としておきましょう。でも、それって、「本当に葛藤があったことを強調されていました」ことの証明になっていますかしら? 要するに、土肥元校長は「不起立教員を処分したくなかった」ので、式場外に出したかったし、式場で不起立しても、東本さんが適切に書かれていたように「(不起立したのに、していないと)おのれの確信的な行為を『否認』すること、あるいはうそを言うこと」をしてほしかった、そこで、「本当に葛藤があったことを強調されていました」ってことですよね?

 でも、すっごく、奇妙ですよぉ〜・・・

<奇妙なこと その1>
 そもそも、土肥校長が本心から「不起立教員を処分したくなかった」のなら、「職務命令」を出さなければよかったのです。超!? 簡単なことです。学校において職務命令を出せるのは「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」(学校教育法第三十七条−4)校長、唯一人です。職務命令を出すか、出さないか、それは、校長の権限であり、教育委員会でさえ『法令遵守』すれば、校長に対して「所属職員に職務命令を出せ」という「職務命令」は出せません。当然、都教委ですらも、「法令遵守」!? して、土肥校長に「職務命令を出せ」という「職務命令」は出していません。

 職務命令を出すか、出さないか、それは校長の一存で決められるし、一存で決めなければならないことなのですよ。それは、土肥校長が自分を「教育現場での言論の自由を守るためにたたかっ」たと描き出す映画を撮らせるために、御自分の庁舎管理権(力)を私用に使って、土井敏那「ドキュメタリー」作家さんに、自分が都立三鷹高校内の下駄箱の所で生徒に声かけしているところや・・・この場面を見て「なんて、いい先生だろう」と素直に感動する人も多いことでしょう・・・部活指導をしているところを、御自分の一存で決められたのと同じことです。(http://www.masudamiyako.com/news/12/120104.html「蛇足ながら その2」参照)

 もし、土肥校長が本心から「不起立教員を処分したくなかった」のなら、職務命令を出すべきか、出さないべきか、それが問題だ!? と悩まれてこそ、「本当に葛藤があったことを強調」することができたでしょう。でも、岡林さんは、土肥元校長から「『職務命令を出すか、出さないか、』で本当に葛藤した」という、お話をお聞きになってはいないのではないでしょうか? 土肥校長が誇りとされる「法令遵守」、即ち「都教委=上からの命令は内容は何であれ、従順に守らねばならない」という「小さなアイヒマン」精神からは、そういう、本来なすべきだった「葛藤」は生じるはずもありません。

 彼は「個別職務命令までは出さなくてもよい」ということでは、都教委とやり合われたらしいですけど・・・でも、事実は、個別職務命令よりは、もっと悪い職務命令を出していますから       http://www.masudamiyako.com/news/12/120307.html
・・・『日の君、起立』職務命令を出すことについては、都教委に対し全く異議を唱えてはいません。

 「自分は校長として、不起立教員を処分することになる職務命令を出したが、それは間違っていたのではないか?」などという、その後の「葛藤」も、土肥元校長には無いでしょう? それで、どうして、素直に「本当に葛藤があったことを強調されていました。」などと「受け止められる」ものなのでしょうかねぇ?

<奇妙なこと その2>
 さて、土肥校長は「(不起立をした)二人の教員の処分は不当である」と、何らかの会議で、本当に「報告」され、「葛藤があった」と、いたしましょう。そこで、2番目に奇妙なのは、では、なぜ、都教委に対して「『(不起立をした)二人の教員の処分』をしてほしい」という事故報告書を作成し、都教委に提出されたのか? ということです。この「事故報告書」も校長が作成し(まぁ、原文は副校長に作成させたりもしますけど)、校長が都教委に提出するものです。都教委は、この校長作成・提出の「事故報告書」が無ければ、教職員に対する処分を発令できません。

 つまり、職務命令同様に、この「事故報告書」も土肥校長の一存で「出すか、出さないか」を決定できたのです。「法令順守して(※事故)報告せざるを得ない。」なんて、本当に土肥元校長がいわれたのなら、それはハッキリ言って、土肥元校長はウソを吐かれた、ということです。「事故報告書」を出すか出さないか、それは前記学校教育法第三十七条−4に規定された校長、唯一人の権限ですから、土肥校長が

「私は事故報告書を書きません。出しません」と言ったところで、十分、「法令遵守」はできていたのですからねぇ・・・

 土肥校長が「本当に葛藤」された、と岡林さんが受け止められたらしい「本人が否認してもらえれば、(事故)報告しなくて済む。でも本人が認めているならば、法令順守して(事故)報告せざるを得ない。」という主張は「法令」上で考えれば事実に反しています。本人が否認しようがしまいが、認めようがしまいが、「法令遵守」すれば「報告せざるを得ない。」というものでは全く、ない、のです。

 岡林さんは、土肥元校長が「私は、不起立教員を処分することになる事故報告書を書くべきか否か、出すべきか否かで悩みました」、あるいは「事故報告書を出したのは間違っていたのではないかと悩んでいる」というお言葉をお聞きになれらたのでしょうか? ま、そういうお悩み、葛藤は、私は土肥元校長という方の「小さなアイヒマン精神」である「都教委の指示命令に従うことは法令遵守精神から当然」というものからは出てくるはずはないだろうと考えます。

 また、「本人が(不起立を)否認」という点についての東本さんの正鵠を得た批判、「そのおのれの確信的な行為を『否認』すること、あるいはうそを言うことは、おのれをおのれ自身で冒涜することと同じことです。そのようなことを確信的に不起立した人がどうしてするでしょう? この土肥元校長の発言には他者の理念への思い遣りが決定的に欠けています。」に全面的に同感です。その上で、私は、もし、本心から土肥校長が「(不起立をした)二人の教員の処分は不当である」と考えておられたのなら、他人にウソを吐かせるのではなく、「本人が(不起立を)否認」しようがすまいが、ご自分が「私は校長として、二人の教員が不起立をしたとは認めません」と「否認」なされば良かったのではないか、と考えます。それは「事故報告書を書きません」ということになるわけですが・・・

<まとめ>
 ん〜〜〜・・・奇妙だぁ〜〜・・・岡林さんの書かれたところでは、土肥校長は「校長である自分が出した職務命令に違反したから厳正に処分してほしい」と「事故報告書」を書いて都教委に提出して、自分が「都教委に処分させた二人の教員」について、その土肥校長自身が出席する「都教委の審議会」で、その「二人の教員の処分は不当であると報告もした」らしい・・・そして、「教育現場」である都立三鷹高校では、土肥校長は都教委の「職員会議、多数決採決禁止」通知に従順に従って、多数決採決をせずに、「教育現場での言論の自由を守るためにたたかってい」らっしゃったらしい!?

 そして、土肥元校長が「教育現場での言論の自由を守るためにたたかっている真摯な思いを受け止めることができました」というヒトがいらっしゃる!?

ん〜〜〜・・・「ドキュメンタリー」(実録)映画の威力かしらねぇ?