変革のアソシエ講座「育鵬社教科書の第一次世界大戦&ロシア革命」 2/3 |
皆様 イラストの制服の女子中学生は「なぜ第一次世界大戦は起こったのかな。」と考えています。しかし、本文(P190)は「ヨーロッパでは、オーストリア、イタリアと三国同盟を結んだドイツが急速に国力を増大させ、イギリスの優位をおびやかすようになりました。一方…イギリスは…三国協商を成立させ、ドイツの動きに対抗しました」「1914年…サラエボで…三国協商、三国同盟の各国もそれぞれの側に参戦し、第一次世界大戦が始まりました」です。 つまり、第一次世界大戦の真の原因は「帝国主義国=強盗国同士による植民地再分割戦争」にあったことを、全く説明しません。なにしろ、育鵬社教科書には「帝国主義」という言葉自体が無いのですから!? 他社、たとえば教育出版の教科書は「20世紀にはいると、植民地などの海外市場やバルカン半島の支配をめぐって…三国同盟と…三国協商の対立がきびしくなってきました」と、きちんと第一次大戦の原因を明記しています。この教科書は義和団事件、日英同盟の成立の所で、「帝国主義」についてわかりやすく説明してありますから、生徒たちは「なぜ第一次世界大戦は起こったのかな。」の答えをきちんと把握できます。 また、ロシア革命の記述のひどさときたら、目を覆いたくなります。「ロシアでは生活物資の不足に民衆の不満が噴出して、1917年、レーニンの率いるソビエト政権が成立しました(ロシア革命)」(P192)と、民衆が平和を求めたことには全く触れず、ただ、生活物資が不足したことだけを革命の原因に!? それだけで革命が起こるなら(笑)、日本でも米騒動で革命が起こっていたでしょう。 次には「共産主義の拡大」と明記して「議会政治を否定し、共産党に全ての権力が集中する一党独裁政治がおこなわれ、市民の自由はうばわれました」…大日本帝国では「市民の自由はうばわれて」なかったかのように!? さらにP193には「1919年、世界に共産主義を広めるため、コミンテルンとよばれる革命組織がつくられました。各国の共産党はコミンテルン支部として結成され、それぞれの国を共産化するための活動を始めました。…スターリンは秘密警察…共産党に反対する人々を摘発して収容所に送り、おびただしい数の犠牲を出しました。わが国は、北の国境で共産主義という新たな脅威と直面することになりました。」!? 「共産主義」に対する憎悪がみなぎっています(笑)ねぇ…こんな感情的で、客観性を欠く記述を、文科省はよくも検定で合格させたものです。「渦巻ける烏の群れ」の下、「おびただしい数の犠牲を出しました」シベリア出兵の悲惨についても記述が無く、各国が引き揚げた後も最後まで日本は兵を引き上げなかった歴史事実も、他社の教科書は書いていますが、この教科書には無いのです。「北の国境」で日本軍の「脅威と直面」していたのは、生まれたばかりのソ連だった、というまぎれもない歴史の事実を、こんなふうに歪め、逆の歴史を偽造しているのです。 本当に読めば読むほど、育鵬社教科書の「こんな教科書で学びたい」というキャッチコピーとは正反対に「こんな教科書でだけは学ばせたくない」と思います。 日本がなぜ、この大戦に参加したのか、という歴史の真実もこの教科書では書かれていませんが、ここを中心に原史料をもとに考えていきますので、御都合のつく方はぜひ、ご参加ください! |