都教委「客観的に正しい歴史認識など存在しない」「検定済教科書批判プリントは到底許されない」!?10/7/29

 本日、「扶桑社教科書批判で不当免職」撤回裁判の口頭弁論がありました。前回、裁判所に提出した阿部康隆・中央大学教授&山田昭次・立教大学名誉教授の意見書に都教委が「反論する」と言っていたので、いったい、どんな反論が出るかと楽しみ!? でしたが・・・

 いやはや、都教委が「反論」と称して出してきたものは、件名のように、ただただ「居丈高な居直り」以外の何者でもなく・・・本当に、思わず失笑が漏れる、こんなレベルの群れが都教委=教育行政を乗っ取っているかと思うと暗澹とします。

 以下、ほんの少々、連中の「反論」をご紹介しますと・・・



@「『歴史認識』は歴史とともに変化し得るものなのであり、『客観的に正しい歴史認識』など存在しないこと(ママ 本当は『を』を入れる必要ありですが)あえて指摘する次第である」 


A「B出版社(※なぜか『扶桑社』と明記できない!?)の教科書は文部科学省の検定を得ているものなのであり、『歴史偽造主義者』『歴史偽造で有名な』『国際的に恥を晒すことでしかない歴史認識』と表現したプリントを授業で配布するなど到底許されるものないことは全く明らか」


B(こちらが、「そんなに生徒・保護者に悪影響を与え学校教育への信頼を失わせる教材プリントであるなら、なぜ、都教委は千代田区教委に回収を指示し、保護者会を開いて回収の理由を説明しないのか?」と求釈明したのに対するお答えは)

「ア、普通教育は、学校に対する生徒・保護者の信頼があって初めて成り立つものなのであり、(増田教材プリントは)生徒・保護者の学校に対する信頼の形成を妨げる可能性を持ったものである。  

 イ、被控訴人都教委は、千代田区教委に対し上記教材プリントの回収の指示はこれをなしていないが、被控訴人都教委は事実を詳細に調査し、確認したうえで本件処分をなしているのであり、控訴人の行為が非違行為を構成することが明らかである以上、回収を命じなかったこと自体はなんら問題となるものではない」



 つまり、都教委は、こう言っているのですね!?

@「日本は侵略戦争をした」と、極右思想の日本会議所属の安倍晋三も麻生太郎も首相でいる時は公言せざるを得なかった「歴史認識は」今後の「歴史とともに変化し得るものなのであり、『客観的に正しい歴史認識』など存在しない」のだから、今後の「歴史とともに」、日本の首相もまた「日本は自衛戦争をした」「日本は聖戦をした」という「歴史認識」になって公言するだろう!?


A「文部科学省の検定を得ている」歴史教科書は、『客観的に正しい歴史認識』に基づいているから絶対に正しいものなのだから「文部科学省の検定を得ている」教科書なのであり、その「文部科学省の検定を得ている」教科書を批判する「プリントを授業で配布するなど到底許されるものないことは全く明らか」なのだ!? どうだ? モンクあるかぁ!?  

 家永教科書裁判では、最高裁において少なくとも4箇所が「文部省の検定違法」! つまり、教科書に誤りがあると認定され確定している、という事実に加えて、扶桑社自身が扶桑社歴史教科書を「右より過ぎて採択が取れないから、今後は別会社を作り、別の教科書を出す」と公表している事実を、以前も書面で指摘してあげているんですけどねぇ・・・


Bこの回答で、都教委は増田の「教材プリントの内容などは、本当はどうでも良かったのサ」、ただただ「増田処分の口実をつかめさえすれば良かったのサ」と自白してしまいました!

 もし、本当に増田の教材プリントが「生徒・保護者の学校に対する信頼の形成を妨げる」ものと都教委が判断したのだったなら、当然、直ちに回収を命令すべきだったでしょう。そして、直ちに、「この増田の教材プリントは、こうこう、こういうふうに『生徒・保護者の学校に対する信頼の形成を妨げる』ものでありましたので、謝罪して回収します。」というべきだったでしょう。そんなに悪い教材プリントだったなら、そういう措置を採らなくて、どうして真っ当な教育行政といえましょうか?

 現に生徒はずっとその教材プリントを持ち続けているのですから、何度でも読むことができたのです。生徒にひどい悪影響を与える(と都教委が言う)教材プリントは野放しで良し!?
だってさぁ、本音を吐くとね、「被控訴人都教委は」ただただ、増田への「本件処分をな」すために「控訴人(増田)の行為が非違行為を構成することが明らかである」という口実さえつかめれば良かったんだもんね!?




 さて、東京高裁の大橋寛明裁判長は、「日本国憲法が侵略戦争への反省の上に立って作られた」という「客観的に正しい歴史認識」を持って、この裁判を「行政から独立した公正・中立」な立場で行ってくれるでしょうか? 東京地裁の「行政の犬」になりきった裁判官と違って・・・

 しかし、「右翼都議・古賀俊昭の証人尋問は無理でも、せめて、映画『侵略』の監督の森正孝・静岡大学講師か、山田昭次・立教大学名誉教授のどちらかを学者証人として採用してほしい」という、控訴人・増田の側の要求を、この裁判官は受け入れませんでした。「控訴人増田の証人尋問も必要なし」と・・・ムムムムム・・・

 次回、10月26日(火)15:00〜東京高裁822号法廷が最終弁論となり、結審します。判決は年内にも出るかもしれません。

 本日も遠くから傍聴に来ていただいた方もあり、たいへん、ありがとうございました。ぜひ、この10月26日の傍聴も、よろしく!