「過去を清算し平和の未来へ 1・31集会」報告 10/2/2

皆様
 おはようございます。犯罪都教委&1・5悪都議と断固、闘う増田です! 『「韓国併合100年」市民ネットワーク」(略称「100年ネット」)の共同代表17人の一人でもあります。これはBCCでお送りしています。重複・超!? 長文、ご容赦を。

 早稲田奉仕園スコットホールで行われました件名集会は、主催者も想定外の延べ240名もの参加があり、折からの好転に恵まれ(一日天候がずれると悲惨でしたが)汗をかくぐらい熱気あふれるものとなりました。まだ、公開MLには報告がないようなので、私から私情を交えて!? 報告させていただきます。

 この集会は、副題を「−「韓国強制併合100年」共同行動 日本実行委員会結成の集い −」と銘打っていますように、今年8月22日「韓国」強制「併合条約」から100年になる節目の年にあたり、日韓両国の市民がそれぞれの国で「本来なら大日本帝国敗戦の65年前に清算しなければならなかった植民地主義が、未だ清算されていない」という認識の下に、「真に植民地主義の生産をするために、共同行動をとっていこう! そのために日本ではこの日、実行委員会を立ち上げよう!」ということになったものです。

 1・31現在で69名の個人・18の団体(「100年ネット」もその一つ)が賛同していますが、どうぞ、趣旨に賛成の個人・団体の方には、どんどん本実行委員会に賛同していただけますようお願いします!



さて、集会です。

 「ノレの会」の皆さんによる「朝露」(いつ聴いても美しい詩とメロディー!)&「ニムのための行進曲」(いつ聞いても、胸にこみ上げてくるものがある歌)の美しく力強い合唱のオープニングの後、日韓両国(韓国からは14人の方が来日)の代表のご挨拶。日本の伊藤成彦・中央大学名誉教授のご挨拶は省略させていただき(伊藤先生、ごめんなさい)、イ・イファ「真実と未来 国恥100年事業共同推進委員会(略称「国恥100年」)常任共同代表」のご挨拶を紹介します。


●<未来の100年を開いていきましょう>
 昨日、韓国の京郷新聞に日本の鳩山総理が「未来の100年を見つめ、本当の未来志向の友好関係を強化していく」という発言をしたという記事を読みました。少し妙な気持ちになりましたが、とても嬉しい知らせでもありました。われわれ国恥100周年推進委員会では「真実と未来」というスローガンを掲げましたが、鳩山総理はこのスローガンを思い起こさせました。

 個人的な所感をお話しいたします。私は歴史学者として韓国近現代史に関心を傾けてきました。そしてたくさんの講演の場でとてもよい自己反省の機会をもちました。事実、そうです。19世紀はヨーロッパから出発した植民地主義が東アジアへやってきた、骨身にしみる時代であり、長い歴史を持った韓国もここに含まれました。

 そうだといって日本の韓国植民地支配が正当だったという意味ではありません。これまで日本軍国主義、国粋主義の幻想に染まった日本当局者と多くの日本国民たちが歴史的過誤に対する反省はおろか、むしろ美化と自負心をもつ姿を見て胸が痛みました。

 しかし、私は多くの日本の友達がいます。早稲田大学の深谷克己教授と奈良女子大学の中塚明教授と長い交流を続けています。二人の教授は韓国民衆運動史に関心が高く、特に東学農民革命について関心を集中していました。中塚教授は「真実と未来」という推進委員会の名前を見て、とてもいい名称だと何度も褒めてくださいました。また、東アジア国際平和人権会議であった日本の友達とも多くの対話を分かち合いながら楽しい時間をもったこともあります。
 
 今日この意義深い集会を契機に、これから私たちは友達になりましょう。互いに理解し、志が通じる友達になれば解決できない事はないでしょう。韓国と日本は一衣帯水、または唇歯の関係だといいます。そのため長い交流をしてきました。良い記憶を思い起こしながら本当の真実を明らかにし、未来の平和と人権の時代を開いていきましょう。置いた私は感激に堪えません。ありがとうございます。



●その後、「『韓国強制併合』100年−日韓、東アジアの平和な未来を切り開くために」として、李錫兌(イ・ソクテ)「国恥100年」常任共同代表(弁護士)の講演があり、日本から「清算されない植民地主義」として以下の6人の方から「課題提起」がありました。


*「日本軍『慰安婦』(性奴隷制)問題と植民地責任」 鈴木裕子さん
*「戦時強制動員とその被害補償について」      山本直好さん
*「韓国人の靖国合祀問題とその解決について」    大口昭彦さん
*「関東大震災時朝鮮人虐殺の国家責任」       山田昭次さん
*「清算されない植民地主義と在日朝鮮人」      金優綺さん
*「歴史認識問題について」             俵義文さん
 

●この最後に「特別報告」として「私の闘いから見えてくる、日本の教育行政と司法の歴史認識」を発表させていただきました。6人の方が10分ずつ話されましたので、皆様お疲れだろうと私も10分の割り当てでしたが5分を目標に以下のことを少々略しながら話しました。

1、 はじめに
 私は33年間、都内の公立中学校で社会科(地理・歴史・政治経済)を教えてきましたが、06年に極右の石原慎太郎都知事が支配する東京都教育委員会によって免職されるという不当処分を受け、撤回裁判を闘っています。処分の発端は、靖国神社を学区域に持つ千代田区立九段中学校で、私が05年のノ・ムヒョン大統領3・1演説を教材にして、両国の『真の和解』について生徒と共に手紙を書き、読みあう授業をしたことでした。この教材を右翼だった当時のPTA副会長が「偏向教育だから処分せよ」と都教委に送付したのです。

 主な処分理由は、私が生徒に、侵略否定の妄言都議と扶桑社歴史教科書について「国際的に恥を晒すことでしかない歴史認識」であり、「歴史偽造主義者」である、と教えたことでした。なんと、これが「誹謗」つまり、「悪口」である、というのです。

 私は、都教委の正しい歴史認識能力の欠落と、「批判=間違いの指摘で正当なもの」と「誹謗=悪口で不当なもの」との違いも識別できない日本語能力の欠落に呆れました。さて、裁判官は、どうだったでしょうか?


2、 正しい歴史認識ができない日本の裁判官
 去年6月、東京地裁の判決が出ましたが、驚き呆れるばかりの判決でした。それは、全く被告の東京都教育委員会の主張のコピーでした。「被告・都教委は原告・増田を上記二つの文言について『誹謗した』として処分した。増田も、そういう理由で処分された事実を認めている。以上の事実によれば『誹謗である』ことは明らかである。よって、増田は中立・公正を書く人物であるから『公務員不適格』であり、免職処分は正当」というのです。

 私は、この3年間の裁判で、扶桑社の歴史教科書がどんなに歴史事実に反するものであり、侵略正当化の『歴史偽造主義』であるか、これがどれほど「国際的に恥を晒すことでしかない歴史認識」であるか、徹底的に新聞記事や書籍、学者の意見書を証拠として論証しました。日本人はもちろん多数の韓国や中国の方からの「解雇撤回要請署名」も提出しました。当時の校長先生は、たいへん良心的な人物で、私が何も問題のない「優秀な教員だった」と詳細に証言してくれました。教え子も、もちろん、きちんと証言してくれました。

 しかし、「慰安婦」裁判や「靖国合祀取り消し」裁判など戦後補償裁判を経験した人にはお分かりのことと思いますが、東京地方裁判所の裁判官は、ひたすら行政権力に迎合しました。この判決の特徴は「日本は侵略戦争をしたのか? しなかったのか? 侵略否定の妄言や扶桑社教科書は、歴史事実に適合しているか、いないか」について一切、判断を書いていないことです。

 それを先ず判断しなければ、私の2つの文言が「批判」であるか「誹謗」であるのか、結論は出せないはずです。実際は、裁判官は日本の侵略否定の言動に対する「批判」を「誹謗」と判断したのですから、裁判官自身、「日本政府も認めている日本の侵略」を否定する誤った歴史認識の立場に立っているのです。つまり、裁判官自身が正しい歴史認識を持っていなかった、ということを、この不当判決は明らかにしているのです。

 では、なぜ、日本の裁判官は、正しい歴史認識を欠落させ、自国の憲法の根本にあるはずの「過去の日本の侵略」を認めず、それを批判する教員は免職しても正当などという判決を出すのでしょうか?

 それは、残念ながら現在の日本の支配層が憲法9条を改悪して「戦争放棄」を放棄し、アメリカ軍の手下として海外で戦争する方向に舵を向けており、裁判官・司法が、それに迎合しつつあるからではないかと私は憂慮します。現に日本はまだ第9条が存在するにもかかわらず、有事法制という名の戦争法制を既に作っており、米軍の戦争に自衛隊という名の現日本軍が協力して戦争する体制は整いました。

 そのため、現在、侵略否定と植民地支配正当化の「歴史偽造主義」教科書である扶桑社教科書や自由社教科書を学校に押し付け、戦争することに抵抗感を持たない日本の子どもたちを育てていこうとしているのではないかと思います。だから、教育現場で、過去の日本の侵略戦争の真実とそれへの反省を教え、侵略否定の妄言議員や教科書を批判することを教える教員である私は排除するしかなく、裁判所はそれを容認するのでしょう。


3、真の「平和な東アジア共同体」のために
 しかし、この道は本当に「平和な東アジア共同体」を創り出す道でしょうか? 学校で過去の恥ずべき日本の侵略と植民地支配の数々の犯罪を教えず「日本はアジア解放の戦争をした。日本の植民地支配は良い植民地支配だった」などとウソの歴史を教えて育った日本人が本当にアジアの国の人々と信頼関係を築いていけるでしょうか?
いいえ、未来を担う子どもたちには、日本にとっては都合の悪い過去であっても、鳩山首相が韓国で言われたように「直視」し、正しい歴史認識と真の謝罪の上に本当の友好関係が築かれていくことを教えなければなりません。

 私は職を失うことになりましたが、後悔したことはただの一度もありません。それには韓国の方たちの大きな励ましが本当に本当に大きな力を与えてくれたのです。私の免職直後には、日本のマスコミは右翼偏向新聞として有名な産経新聞や雑誌「新潮」が「偏向教師が首になった」と喜ぶ報道をしてくれたほかは、ほとんど報道しませんでした。これは今でも同じです。本日はTBSの主催が来ているようですから期待していいでしょうか?

 しかし、日本と全く違って韓国のテレビ局はKBSもSBSもMBCも「日本の良心的女教師、電撃免職される」と報道してくださり、その後も私を取材しドキュメンタリーなどを報道してくれたため、全く見ず知らずだった韓国の方たちが励ましの声だけでなく、カンパまで送ってくださったりしました。そのお気持ちがどんなに私の凍えそうな心を暖めてくれたことか・・・

 今後も日本の誤った歴史認識を正すために、両国市民の連帯を強めていきたいと思います!

 最後に皆様に二つの署名のお願いをさせてください。一つは都教委に対して「扶桑社教科書採択について見直しの再審議をせよ」という東京都議会への請願署名で、もう一つは地方自治体の『慰安婦』問題解決を日本政府に求める意見書」採択問題で、そのための署名です。ぜひ、皆様のご協力をお願いします!

●休憩を挟み、第2部で「2010年 日韓強制併合100年 日韓市民共同宣言行動に向けて」ということで「8.22(日本)―8.27〜29(韓国)日韓市民共同宣言大会に向けての行動計画案の提起」、質疑応答、会場発言、日本実行委員会の体制について発表され、最後に「『水晶の夜』を許さない市民のアピールー在特会らの人種差別をを糾弾する」を採択し、3時半から8時までの長時間の集会を閉じました。


●懇親会も予想を上回る参加者で、事務局の中心にいるお二人の男性は立ち飲み、立ち食い!? の盛況。自己紹介のとき、韓服姿のソ・ウヨン「安重根義士記念事業会」事務総長は「私はこれまで『日本人は会話の対象ではない、清算の対象だ』と思っていましたが、今回、初めて日本に来てこの集会に参加し考えを改めました」と発言されました。

 そして、会終了後、私のところに来られて「あなたの報告に感動しました。ソウルに来たら、必ず連絡してください、美味しい韓定食を食べさせてあげますから。」と言ってくださいました! ソウルまで辿り着くことができたら、飢え死にする心配はなさそうかな(笑)・・・

 この集会の中で、本当は日本こそが「国恥100周年」と言わなければならないのではないか、と胸が痛かったです。日本だって長い歴史がありますが、国家として外国の人々の人権を踏みにじったのは、秀吉の朝鮮侵略を除けば、明治以来のここ100年なのです、その清算も済んでいない・・・


 超長文!? 最後までお読みいただき、ありがとうございました!