ハンギョレ新聞と週刊『新潮』09/6/21

☆国会前座り込み
 6月19日(金)、午後は、まず1時から国会前での「23年に及ぶ、国労・全動労1047名首切り問題の解決を求める」座り込みに参加。西部全労協の一員である東京都学校ユニオンとして連帯しました。当時の中曽根首相は、「国鉄分割民営化は、護憲勢力の中心だった社会党・総評ブロックを崩すために、総評の中核組合だった国労を潰すことを目的としていた」と、公然とテレビ・雑誌などで語っています。

 完全に「憲法改悪という政治目的のための首切り」という明確に違法な不当労働行為です。これは裁判所でも認定されました。それにもかかわらず「不当労働行為がなければJRに採用されていただろうという期待権の侵害だから、その賠償はすべきだが、解雇は有効」!? というスジの通らない司法判断ですが・・・

 分割民営化が審議された国会では当時の首相自らが「一人も路頭に迷わせない」と約束しながら、1047名にも上る方々(既に50数名の方々が無念の他界)を「23年も路頭に迷わせ」続けています。そういう平然たるウソを罷り通した人たちが「道徳教育」だの「愛国心教育」だのを主張し、未来の主権者である子どもたちを、自立した人格の持ち主として平和と民主主義の担い手に育てるという1947年教育基本法を改悪してしまったのですから・・・

 ただ、現民主党党首の鳩山由紀夫氏は幹事長だった当時、「1047名支援集会」に来られて「民主党は解決に努力する」と公約なさいましたので、来る総選挙で民主党政権が成立すれば・・・という期待があるのですが・・・

 同じ時間に国会前で「9条改憲阻止の会」の方々も違憲の「自衛隊ソマリア派遣法、反対」の座り込みをしてらっしゃいました。私も会員なのですが次の約束があったので、そちらには行けず、ごめんなさい。

☆ハンギョレ新聞記者のインタビュー
「次の約束」とは、ハンギョレ新聞日本支局に行き、午後4時から特派員記者のインタビューを受けることでした。私への弾圧の始まりであった1997年の足立十六中事件の「反米偏向教育」攻撃から始め、不当免職を超!? 不当にも正当とした裁判官の判決までを話しました。「侵略否定妄言都議&扶桑社歴史教科書を『歴史偽造主義』と評価することは『誹謗だ』」!? なんぞという、日本語の「批判」と「誹謗」の違いも分からなかったらしい、まさに行政追随、行政のイヌに成り切った裁判官たちの話までを・・・

 私の平和教育・民主教育への弾圧の始まりだった足立十六中事件は、1997年6月の中学2年社会科・地理「沖縄県」の授業で米軍基地問題を扱ったものが発端でした。沖縄米軍基地が、いかに沖縄県民への人権侵害となっているかをNHK福岡の「普天間基地と普天間第二小」という番組を録画したものを見せて紙上討論したものに、保護者の一人が「反米偏向教育」と干渉してきたものでした(詳細は『教育を破壊するのは誰だ! 【ドキュメント】東京・足立十六中学事件』(社会評論社)を参照)。

 記者の方が大いに興味をそそられたのは、当時の私の所属組合であった全教・都教組が所属組合員である私の方を誹謗中傷するビラを大々的にまいて所属組合員である私を攻撃してきたことでした。「韓国では考えられない・・・授業内容に対する干渉なのに、組合が権力と一体になって組合員を攻撃するとは・・・韓国の全教組では考えられない・・・」

「そうですよね」「これを記事にしていいですか?」「ええ、全くかまいませんよ。『日本の侵略』という歴史事実と同じく、歴史事実となったものですから。」等々、約1時間半のインタビューでした。


☆本当に「日本国憲法と良心に従い」裁判された、
という日本では希少な!? 裁判官

 次は渋谷の伊藤塾で「日本国憲法と裁判官」というテーマの連続講座第2回に参加。青法協(青年法律家協会)の裁判官として定年まで頑張られた!? 花田政道氏と、同じく青法協の裁判官で、有名な『自衛隊違憲判決!』を出された唯一の裁判官で、定年退職された福島重雄氏の2氏の講演でした。

 青法協は「法律家としては、その職能をとおして、憲法を擁護する権利と義務と責任をもっております。わたくしたち全国の若い法律家があつまって平和と民主主義をまもる会を設立」とその設立趣意書にあります。本来、日本の裁判官全員が加入して当然のものでしょう。

 しかし、お二人は「日本国憲法と良心に従い」裁判された結果、手形部とか家庭裁判所とかを異動させられて、普通の裁判は担当させてもらえず、昇給差別(同年の裁判官より7年は遅れたとか)など、不利益を被りました。

 お二方とも「そのぐらいの『不利益』は『良心』を失うことを思えば、なんでもない」と本当に爽やかでした。「日本国憲法はあの侵略戦争への反省から生まれた」という日本国憲法のイロハにも無知であるらしく「行政絶対随順」!? の行政のイヌと成り果てた東京地裁民事36部の渡邊弘、三浦隆志、秋武幾代という裁判官諸氏には、ぜひ、このお二人の爪の垢を煎じて飲ませてあげたいものです。


☆暗がりからヌッと週刊『新潮』記者が出現!?
 さて、爽やかな元裁判官の方々の講演が終わったのは午後9時。おなかが空いたので、伊藤塾近くのレストランで夕食をとり、帰宅したのは午後11時前。玄関の郵便受けから郵便物を取り出し、門扉を閉めようとしたら、突然、暗がりから男の声。背後からの突然の声には超!? 弱い私は「ギャーッ」!? と思わず悲鳴を上げてしまいました。

 「驚かせてすみません。」「驚くわよ」「私は週刊『新潮』記者です」と名刺を渡されました。「週刊『新潮』編集部 清水宏一」と書いてありました。「話を聞きたいんですけど」「いいわよ、いっくらでも話してあげるわよ。私は天に恥ずるところはないから」「こないだの裁判で、『イヌ』と裁判官に向かってつぶやかれたそうですが」・・・ほほー・・・判決の傍聴に来てくれてたんですねぇ。

「ええ、言いましたよ。行政絶対随順で、都教委の書面をコピーして貼り付けただけの『よくもまぁ恥ずかしくないなぁ、これじゃ2年9ヶ月も裁判しないでも書ける』というぐらい行政のイヌに成り下がっている裁判官ですもの」「でも、裁判官に向かって穏当ではないんではないですか?」「元裁判官で日本国憲法に忠実な裁判官だった安倍晴彦さんが『イヌになれなかった裁判官』(NHK出版)という本を書いてらっしゃって、その正反対の裁判官が渡邊弘、三浦隆志、秋武幾代という裁判官ですからねぇ、『イヌになりきった裁判官』と反射的に思い浮かんだので口から出たのよね」等々、きちんと説明してあげました。

 「もちろん、『新潮』なんだから、あなた、さぞかし、私に対する誹謗中傷記事を書くんでしょうね?」「いや、増田さんとは見解が違いますが、増田さんのコメントもきちんと書きますから」「最近、『新潮』は名誉毀損裁判で負け続けで、ずいぶん賠償金払わなくちゃいけないようねぇ」「その点では増田さんと同じように裁判官批判を(『新潮』は)最近、連載で書いていますよ」
 
 というように玄関前での立ち話を30分。たぶん「裁判官をイヌ呼ばわりするトンデモ教師」というような見出しで、低劣な誹謗中傷記事が載ることでしょう。前回同誌は「トンデモ偏向教師が、やっと首になったぞ」という喜びに満ち溢れた!? 記事を書いてくれました。確か、社民党の辻元清美・衆院議員に対する誹謗中傷記事と同じ号だった、という名誉!? なものでした。

 確実に!? ハンギョレ新聞記事とは全く対象的な記事を、週刊『新潮』は書いてくれることでしょう。今回は、どんな有名人と一緒に誹謗中傷されるんでしょうか? 笑い話のタネ!? が増えそうで楽しみです。