故盧武鉉前大統領の弔問 09/5/29

 来年8月の韓国「強制」併合100年を迎えるにあたり「心からの反省と和解をしよう」と去年10月、京都で「日韓百年ネット」が立ち上げられました。その韓国側パートナーとなる4月23日ソウルの「韓日平和百年ネット」創立大会に、私は日本から参加し挨拶をさせていただきました。その折、「韓日平和」の顧問となられた元横浜総領事の柳鍾玄(ユ・ジョンヒョン)氏と知り合いました。

 先日柳氏から、在日韓国大使館の故盧武鉉前大統領の弔問に行き、免職処分のきっかけとなった前大統領宛手紙と現在の私の気持ちを「故盧武鉉前大統領様 御霊前」として認め大使館の方に預けたらどうか、とメールを通じてアドバイスをいただきました。実は、3年前の私の免職の時、すぐ釜山に招請してくださいました釜山市民団体の方からは、自宅に泊めるので「金海のご葬儀に来られませんか」とメールをいただき、心が強く揺さぶられました。しかし、とても残念なことに今月いっぱいはビラまきやら市民講座やらがあり、とても29日の告別式までには韓国に行けないのでした。

 そこで、柳氏のこのアドバイスに従って、28日、韓国大使館に弔問に行き職員の方に「もしも可能でしたら、ハングルに翻訳して前大統領のご家族様に渡してください」と以下の追悼文を渡しました。免職の言いがかりを付けられた05年の手紙はお時間のある時に読んでいただけたら嬉しいです。


●故盧武鉉前大統領様 御霊前 

 私は、都内の公立中学校の社会科教員でございました増田都子と申します。「日本の知性に呼びかけます」といわれた05年3月1日の前大統領の演説には、たいへん大きな感銘を受けました。とても格調が高く、韓国の歴代大統領の中で、これだけ率直に日本人に対して「両国民が真に和解するために、どうしたらいいかを考えてほしい」と呼びかけられたのは前大統領だけではないかと思いました。


 そこで、私は、この演説を教材にして、生徒たちに大統領宛手紙を書かせるとともに、私も手紙を送りました。それが原因で、私は06年3月31日、正しい歴史認識を生徒たちに育てていくことを嫌う石原慎太郎都知事下の東京都教育委員会に免職され、この撤回を求めて裁判闘争を闘っております。


 このニュースを知り私の苦境に同情された前大統領のご友人で釜山市にお住まいの金チ魯氏が、06年5月13日、前大統領側近の薛東根氏(大統領諮問教育革新委員会委員長)を通じて、当時の盧武鉉大統領からのメッセージを伝えてくださいました。「勇気のある先生に会いたいと思いますけど、今は、国家関係が微妙な時期なので会うことはできませんが、いつか会いましょう。関心を持っていますので頑張ってください」 私は、このメッセージに大きな励ましを受けました。


 ですから、5月23日の突然の悲報を受け、驚き、とてもショックでした。前大統領の悲劇を心から悼み、冥福をお祈りいたします。どうぞ、天国から、これからも日本が過去の歴史を正しく認識し、3・1演説で言われましたように「真実と誠意を持って、両国の国民間を塞いでいる心の障壁を崩し真の隣人として生まれかわ」れますようご支援いただき、私たちの力になってくださいますよう、心からお願い申し上げます。


 私も、これからも同演説にありました「日本政府と国民の真摯な努力が必要です。過去の真実を糾明し、真心を持って謝罪して、賠償することがあれば賠償し、そして和解しなければなりません。」ということを日本人が実行できますように努力いたしてまいります。
 どうぞ、安らかにお眠りくださいませ。

  2009年5月28日

※関連文書
ノ大統領‘3・1節記念辞’教えて懲戒された増田教師
ハンギョレ新聞2005年10月24日
韓国ノ・ムヒョン大統領へのてがみ  2005年4月19日