「日本の侵略」という政府公式見解も国際世論も「侵略否定」見解と同等? 08/10/31

 昨日は、都教委による超!? 不当「増田、免職取り消し」裁判の証人尋問が東京地裁で午前11時から午後4時半まで行われました。長時間にもかかわらず、たくさんの人に傍聴参加いただき、たいへん、ありがとうございました! 

 この事件は、私が千代田区立九段中3年生の社会科の授業で、扶桑社歴史教科書と侵略否定の妄言都議を「歴史偽造主義」と批判して生徒に教えたことで「戒告」処分され、即、現場外しの「反省強要、懲罰研修」を強制され、それを拒否したら「公務員不適格」として「分限免職」された、というものです。以下は、その首切りにかかわった人物たちの証人尋問のご報告。


●当時の千代田区教委・酒井寛昭指導課長(私を処分してくれという『事故報告書』を最初に書いた人物)、現在は「同教委、子ども教育部育成課長」とか。

 笑ってしまうのは私が千代田区教委の「事情聴取」とやら称するものに出て彼に「扶桑社歴史教科書や侵略否定の妄言都議を『歴史偽造主義』と言わずして何と言うのか?」と追及してやったときのことを「噛みつかんばかり(!?)で、非常に攻撃的で、反省が全く見られなかった」などと、大マジメな顔で(ま、証人尋問ですからね)言ったことです。

 批判され、追及されると「攻撃された」としか受け止めることができない・・・この精神レベルたるや、まるで小学校低学年!?(ま、このレベルの大人が日本には多そうですが)それに「誹謗」と「批判」の区別もつかない精神レベルの人なんですからしかたないのですけど・・・

★都合の悪いことは全部、記憶喪失
 当時の九段中の校長先生は、教育者としてまた学校運営に責任を負う人として極めて良心的でスジを通す人でしたから、酒井から言われたことは日時、内容を全部きちんとメモし記録にしてあり、それを証拠として提出してくれました。

 それによりますと、酒井課長は都教委指導部の大江課長から何度か指示を受け(時には怒鳴られながら)、校長の職務権限である「(増田に対する)職務命令」を自分が勝手に書いて、軽井沢高原学校の引率で山の上にいる校長に携帯で電話してきて、「この職務命令を校長名で増田教諭に出すけど、いいですね」と強要したりしていました。

 しかし、何とか大江さんの、つまり「都教委の指示で動いた」という「事実を暴露されてはマズイ」という判断からか、私の代理人の尋問には「全く記憶にありません」を連発。校長メモにある「(酒井課長から)都庁に行って土屋都議の意向を聞く、と電話があった」ということすら「覚えていない」そうで・・・これで「子ども教育部育成課長」サマが、ちゃんと、つとまるのかしら?

★教育活動より、増田処分が大事
 とにかく、都教委(&古賀ら3悪都議)の計画通り、8月末に「処分」をして9月1日から現場外しの懲罰研修をさせる、というスケジュールに合わせるために、千代田区教委・酒井課指導長は九段中の教育活動は全く無視しました。高原学校引率中の校長に「帰れ」と強要したのです。

 山上のことは前記通りですが、夜の大事な職員打ち合わせ中に1時間ぐらい私のことで電話したり、飯ごう炊さん中で火を使って汗を流している校長に電話してきたり・・・それでも、どうしても校長が「帰れるわけがありません」となると(常識的判断力があれば当然分かることですが)、全国教頭会で宮崎に出張中だった副校長を、着いた途端に引き帰させたり、という無茶苦茶をしました。

 「なぜ、校長先生や教頭先生が帰るまで待てなかったんですか」という当然の私の代理人の尋問に「そのあとの校長のスケジュールや増田教諭のスケジュールをみると、そうするしかなかった」とか・・・さらに追及されると「都教委のほうからの回答期限の関係で」(どんな無茶苦茶をしてもいいから、校長・教頭に強要しないといけなかった)と答えました。

  そして「校長先生のメモに、あなたが『9月の都議会が目安か』と言ったと書いてありますが」という尋問には「覚えていない」そうで・・・

 また、酒井課長は高原学校から帰ったばかりの校長に「(増田処分を申請する)事故報告書を書け」と強要しました。代理人の「校長先生は、これは増田さんを処分しなければならないような『事故』と認識していなかったのではありませんか」と尋問すると「私どもは(増田処分を要する)『事故』だと認識していたので」・・・

 だから、校長先生に強要して、3回も4回も書き直させて無理やり「事故報告書」を書かせたのです。良心的な校長先生は「事故報告書」の内容としては異例なことに、末尾に「なお、これは全て区教委の指示によります」と書き、ついに「処分してくれ」とは書いていませんでした。普通の「事故報告書」には「この教員は、これこれこういう悪いことをしたので厳正に対処(つまり処分)してください」と書くものです。

★懲罰研修について
 代理人「この研修は、増田さんに『処分』を受けて反省させるということが目的ですね?」
酒井 「はい、そうです」
代理人「その目的を増田さんに言いましたか?」
酒井 「言っていません。(増田には)研修の目的としては一般的なものだけ(研修命令書に書きました)です」

 笑ってしまうでしょう? 「研修の目的」も言わずに「研修しろ」って強制し、それで「研修成果が上がらなかった」というのです・・・

代理人「校長先生から、増田さんは授業をやらせられないから研修させてほしいというような、教育現場からの要請がありましたか?」
酒井 「ありません」

代理人「この研修の法的根拠は何ですか?」
酒井 「地教行法の『研修を命ずることができる』です。」
代理人「研修の種類にあげられているものの中では『その他』に該当するといいましたね?」
酒井 「はい」
代理人「しかし、『その他』に挙げられている項目にも増田さんの『研修』は該当するものがありませんね? 
酒井 「はい」
代理人「『その他』の中でも『その他』なんですね」
酒井 「はっきりと上げられていなくても『反省を求める、(処分されたのは自分が)間違っていることを認識させる(ための)研修があります』

 代理人「『都心の魅力にあふれ、文化と伝統が息づくまち千代田の実現のためにどのような教育を今までしてきたかをまとめなさい』というようなテーマと『反省のための研修』と何の関係があるんですか?」
酒井 「・・・、・・・」
代理人「与えられた課題に増田さんか書いたレポートのどこが研修成果を上げるのに不十分だったんですか?」
酒井 「その課題レポートそのものに問題はありませんでしたが、実践例の中には生徒が萎縮するようなものがありました。」

 ま、笑ってしまうしかない「課題」は、私を目黒の都教委の研修センターに放り込むまでの時間稼ぎに過ぎなかったので、苦し紛れに思いついたものでしょう。

★歴史認識
代理人「政府の公式見解も国際的な評価も侵略戦争だという認識であることは承知していますか」
酒井 「承知しています」
代理人「では『日本は侵略戦争をしたことはない』という意見は『歴史偽造』といっても問題はありませんね?」
酒井 「一般的に言えば問題ありません。でも、授業で使うのは、よくありません。」

 ・・・って?????? 一般的に言えば問題ないことは、授業で使っても問題ではありませんよねぇ? でも、次のように言えば処分されなかったそうですよ。

酒井 「『そういう人もいますよ、そういう会社もありますよ』と言えば問題ないんですが、特定の個人、特定の出版者の名前を挙げたのは誹謗中傷で、問題です。足立16中では保護者を誹謗中傷し、今度は都議や出版社を誹謗しました」

 とにかく、子どもたちに歴史偽造主義者である古賀俊昭という議事録に載っている都議の名前や、扶桑社という教科書会社の名前を教えたら「不当な誹謗中傷だぞっ」「処分だぞっ」ってわけです。

代理人「でも、都議や教科書を作っている会社は、公人や公に認知されている会社ですよ。保護者と違って私人ではありませんよ」
酒井 「根っこは同じです」
 迷回答!? 私人と、常に批判に晒されてしかるべき公人と公の教科書出版会社の区別もつかない教育委員会の課長サン!? ま、これが現在の東京都区教育委員会の連中の学力の現実でしょうか。

●当時の都教委人事部職員課管理主事・橋爪昭男(分限免職を起案した男)、現在は豊島区立明豊中学校校長とか。

★とにかく、何にも調べていなかった!?
代理人「あなたは分限免職案を起案するときに、増田さんの紙上討論プリントによって『教育公務員としての職務の遂行』にいかなる支障があったか、生徒にどんな悪影響があったということを具体的に調べましたか?」
橋爪 「調べていません。全く調べようとは考えませんでした。」

代理人「一人の保護者以外の保護者からの苦情などを聞いたことがありますか?」
橋爪 「全く聞いていません」

代理人「教育公務員に必要な資質は何ですか?」
橋爪 「保護者や生徒から信頼されることです」
代理人「そうすると生徒に学力をつけることは保護者や生徒から信頼されるために重要ですが、増田さんの生徒の社会科の学力に問題があったかどうか調べましたか?」
橋爪 「調べていません」

代理人「校務分掌などの学校の日常業務をきちんとやることは『職に必要な適格性』がなければできませんが、増田さんはやれていない、ということがありましたか?」
橋爪 「(ふて腐れ気味!?)きちんとやっていたのではないですか?」

 とにかく、増田が「本当に公務員不適格かどうか」必要な調査など、全くしてはいないわけです。

★政府公式見解も国際世論も「侵略否定」見解と同等の、一つの見解!?
 ここで代理人が足立12中の卒業式の答辞に、生徒が私に対して「紙上討論が本当に成長の糧になった」という趣旨の名指しに等しい賛辞を書いてくれていたものを読み上げられ「増田さんの紙上討論授業は、こんなに生徒さんに信頼されているんではないですか?」と追及すると、橋爪・現明豊中校長は答えに詰まりました。そして、苦し紛れに搾り出した言い訳は「100時間良い授業をしても、1時間、誹謗中傷すれば免職に値します」って!?

 代理人も傍聴席も、もちろん私も、しばし呆然としたのは「『日本が侵略と植民地支配をしたことを反省する』というのは政府見解ですよね?」という尋問に対する橋爪・現校長の回答です。
「それも一つの見解に過ぎません」・・・、・・・、って・・・おいおいおい?!・・・これは日本国家として内外に表明している一国の公式見解だよーーー・・・

 でも、まだ言うんですよね、橋爪校長は。

「(日本の戦争は)侵略とか自衛の戦争とか、いろいろの見解があり、まだ、(学説は)固まっていないと思います。『日本は侵略戦争をした』という国際世論も一つの見解に過ぎません」って・・・「(侵略戦争をしていない、という見解を「歴史偽造」と)批判して教えるのは一方的で駄目です」って・・・

 この人物こそ、公務員不適格ですね! 日本国憲法が侵略戦争の反省に立って作られている、ってことにすら無知なんです。もちろんサンフランシスコ条約で日本が国家として「日本の侵略戦争」を断罪した東京裁判判決を受諾し、独立を許された、という事実にも無知でしょう。こんな人物が、増田は「公務員不適格で分限免職」なんて「案」を作成してくれてたんですねぇ・・・

 最高裁判例で「(降任の場合に比し公務員の地位を失う)免職の場合における適格性の有無の判断については、特に厳密、慎重であることが要求される」との判例が確定しているのですが、もちろん、こんな判例については無知なまま、増田免職案を作成したんでしょう。最高裁判例に反し「特に杜撰、軽率」!? な判断で、増田を分限免職。

 それで橋爪さん、都教委側代理人の松崎弁護士との打ち合わせどおり最後に胸を張って言いました「増田教諭は絶対に教壇には立たせられません。」って・・・こんな男こそ、絶対に学校に立たせたくない・・・

 最後に私の代理人がトドメの一発
代理人「あなたは『批判』と『誹謗』をどのように区別していましたか?」
橋爪 「・・・(絶句)・・・(それから口を開いて、居直りました)『批判』は批判、『誹謗』は誹謗です」(ごもっとも!?・・・)傍聴席から押さえきれない失笑が広がりました。

●当時の都教委人事部主任管理主事・勝部純明(橋爪起案の増田免職案にハンコを押した人物)、現在は都立国分寺高校校長とか。

★高校生でもプリントは2枚程度でないと理解できない!?
 この人物は、生徒たちの紙上討論プリントB4で11枚を見て3つのことを思ったそうです。「量が多すぎ、すべての生徒に理解させる工夫がない、個人と出版会社を誹謗している」!?

代理人「増田さんが、どういう意図の下に、どのように、このプリントを使ったか、聞きましたか?」
勝部 「どう使ったかは聞いていません。(紙上討論プリントの)ねらいも使用方法も知りません。しかし、単純に量が多すぎるし、相手が中学生なんですから・・・高校生だって理解できません」

 全くもって、この人物は中学生、高校生をバカにしきっていますよね? そんなに、この元高校社会科の勝部センセは、生徒を低レベルに見て授業をしていたんでしょうか? 教材プリントの『ねらい』も知らず、『どう使用したか』も知らず、それでいて、どうしてこんなに自信をもって『判断』できるのでしょうかしら? 通常の常識的判断力を有している大人なら、そんな判断材料不足で判断はできない、という判断をするでしょうけど・・・

★『侵略否定』を、なぜ『歴史偽造』というのか理解できない!?
代理人「一人の保護者以外にこのプリントやそれを使用した授業を問題にした保護者はいましたか」
勝部 「聞いていません」

代理人「政府見解でも日本が侵略したことは明らかですね?」
勝部 「(日本の戦争は)『侵略』という考えと『自衛』という考えがあります。」
代理人「でも、『日本の戦争は侵略戦争だ』と教えるのはいいのでしょう?」
勝部 「言葉の問題です。『歴史偽造』という言葉を使ったのは誹謗だからダメです。(増田が侵略戦争だという立場に立って侵略否定が間違っていると教えたように)違う見解を否定することは誤りです。(増田の)独善的判断です」

代理人「でも、侵略を認めれば、侵略していない、という主張は『歴史偽造』ということになるのでありませんか?」
勝部 「・・・、・・・、・・・(しばらく、言葉が出てこず)『(日本の戦争が)侵略ではない』というと、なぜ『歴史偽造』になるのか理解できません。」

代理人「侵略を認めるなら『侵略していない』ということは『歴史の偽造』ではありませんか?」
勝部 「・・・、・・・、お答えしません」

代理人「では、『不当な誹謗』と『正当な批判』の違いをどのように認識していましたか?」
勝部「・・・、・・・、・・・」 
 この後、勝部センセ、全く質問の意図が理解できていない(というより、理解できたからか)全く関係ないゴタクをグダグダと繰り返します。そこで、さらに私の代理人が切り込みました。

代理人「誹謗と批判を判断する基準は何ですか?」
勝部 「・・・、・・・、・・・、基準は専門的な判断でしょう」
代理人「あなたは増田さんの『歴史偽造』という言葉が『誹謗』だと判断したんですから、その判断基準はなんだったのか? ということを聞いています」
勝部 「(居直ることを決め込んで)あえて言えば『常識』です。『侵略ではない』という主張を『歴史偽造』ということは誹謗であるというのが『常識』です。」

  ここで、こらえきれず傍聴席からブーイング&失笑が広がり、傍聴席の音をイタク気になさる渡辺裁判長から怒りの制止の言葉をいただく羽目に・・・

★増田は公務員不適格だから免職だと判断した資料は?
 私の代理人が、証拠として裁判所に提出している私へのPTAからの感謝の手紙や生徒からの手紙を読みあげてから勝部さんに見せました。
代理人「こういうものを当時知っていましたか?」
勝部 「知りません」

代理人「免職処分にするにあたって、増田さんの授業を受けてきた生徒らが増田さんをどう評価していたかを調査しましたか?」
勝部 「していません」
代理人「どうして調べなかったんですか?」
勝部 「私は人事部ですから・・・担当が違うので、そういう調査はしません」

代理人「ひと一人のクビが、かかっているんですよ。そういう担当に調査するように言ったらいいんではないですか?」
勝部 「『(増田を処分しろと)事故報告』をあげる時に地教委が(そういう調査を)やっているはずですから、免職にする十分な報告があったということです」

代理人「あなたは九段中校長から事情聴取されましたね」
勝部 「はい」
代理人「九段中の校長さんは増田さんについて『勤務状況については良好である。職場の人間関係は自分の状況を全体に伝え配慮している。トラブルはない。授業についてPTAの学年委員長から様子を聞かれたが苦情はなかった。生徒からの要望や苦情もない。平素の授業についてはきめ細かい指導をしているなという印象を持った。保護者からの苦情はない』と述べていましたね」
勝部 「はい」

代理人「こうした点は『適格性欠如』ということで『免職』を決めるに当たり、参考にしましたか?」
勝部「参考にしていません」

代理人「あなたは、九段中の副校長からも事情聴取されましたね?」
勝部 「はい」
代理人「副校長も増田さんは『勤務時間厳守。提出物の期限などしっかりやっている。人間関係に特段の問題はない。』と述べていますが、こうした点は考慮しましたか?」
勝部 「考慮していません」

 これで最高裁判例にいう「分限免職に当たっては特に厳密、慎重であることが要求される」という判断を行い、私の『公務員適格性、無し』=簡単には矯正できない持続性のある本人の性格に染み付いた資質!? を判断した、と主張するんです。

 「簡単には矯正できない持続性のある本人の性格に染み付いた資質」により『公務員適格性、無し』っていうのは、この3人をはじめとする都区教委の連中にこそ該当すると、良識的判断力を持つ人には判断されるんじゃないでしょうか?

 さて、裁判官の皆様は・・・

●次回、証人尋問の最終回は教え子と私の本人尋問です。ご都合付きましたら傍聴参加をお願いします。
12月1日(月)13:10〜17:00 東京地裁631号法廷