月刊『イオ』の取材&偏見反省 08/5/22 |
先日、出版社を通じて拙著『たたかう! 社会科教師』(社会批評社)について、月刊『イオ』という雑誌の記者の方から『著者訪問』のページに載せたいのでインタビューしたい」という申し込みがあり、拙宅まで来ていただきました。 聞いたことがない雑誌だったので、来られる前に知識を得ておこうとインターネットで検索してみました。、「朝鮮総連の機関紙『朝鮮新報社』が出している会員限定の月刊誌。北朝鮮寄り」とありましたので、「とてもイデオロギー色が強い雑誌」というようなイメージがありました。「金正日将軍、万歳」!? という感じが強く出ている雑誌かな・・・なんて思っていたんです。申し訳ないことに、やっぱり『偏見』というものから自由ではありませんでした。 記者の方からお話を聞き、いただいた4月号、5月号を読んで、自分の偏見に思い至りました。やっぱり、直接にフェイス・トウ・フェイスで話し合う、交流するということが、偏見の払拭のためには本当にとても大切なことですね。 この雑誌は、とても、読み易く、品格のある写真誌でした。確かに朝鮮総連傘下ですから「北朝鮮寄り」ではあるでしょうが、「三千里紀行」など写真が本当に綺麗ですし、論考も真摯です。ハンドボールの『中東の笛』に対して「強制連行(労働、徴用)、『慰安婦』、そしてウトロ・・・数十件の戦後補償請求訴訟における原告側全敗の『大和の木槌』」と比較したエッセイは軽妙洒脱で笑わせられながら、とても鋭い考察で、いろいろと考えさせられました。「この『大和の木槌』の前では『中東の笛』なんて小学生のリコーダーだぜ、まったく」フ゜ッ(笑)・・・でも、ごもっとも!? 来られた記者の方は琴基徹(クム・ギチョル)さんという方でした。「4月号のウトロ記事に出ていた『総聯京都府本部の琴基都副委員長』さんは基徹さんのお父さんか、ご兄弟でいらっしゃいますか?」と、後でメールしましたら、以下のような返信がありました。「トルリムチャ」という風習は初めて聞きました。陰陽五行説から来ているようです。琴基徹さんの「自己紹介」も含めて、許可を得ましたので、ご紹介します。 『はい、琴基都は私の兄です。朝鮮には子ども名前をつけるときにトルリムチャという古くからの風習があります。名前の一字に土、金、水、木、火の入る漢字を使い、土→金→水→木→火→土というように代がかわるごとにずっと循環していきます。私の兄弟、従弟など同じ代にあたる男性(男性だけに限った風習で封建的ではあります)は、すべて「土」の入った「基」という漢字が名前の初めにつきます。私の祖父の代は「木」が入った「柱」、父の代は「火」の入った「栄(榮)」という漢字がすべて使われています。 大学は同志社大学へ進み、そこで同胞学生たちの組織である、在日本朝鮮留学生同盟に出会い、母国語や祖国の歴史、南北分断の現状などを学びました。なぜ多くの朝鮮人が日本に住むようになったのかなど、いろんなことを知ると、自分の無知が恥ずかしくなり、民族的な誇りを持つこともできました。兄は立命館大学で、私より一足早く民族的に目覚めており、私はたぶんに兄の影響を受けたといえます。』 今までに東大大学院教授の高橋哲也さんや作家の山中恒さんなどが、この雑誌の『著者訪問』で登場していらっしゃいました。私の記事が載ったものは6月中旬に出来上がる、ということで楽しみです。 なお、この雑誌は「会員限定ということではなく誰でも買える」ということでした。インターネットの情報は便利ですが、確かに間違いも多いですね。 |