沖縄県国頭村東中学校3年生徒一同が、東村議会に出した請願書 07/11/21

 雑誌『人権と教育』(発行:障害者の教育権を実現する会)第47号に沖縄県高校教員の方が書かれた「沖縄『集団自決』問題 歴史をゆがめる教科書検定」というレポートがありました。その中に、件名の中学3年生が「6月4日、教科書検定意見撤回求め請願行動」とあり、注目しました。

 我が都教委ときたら、私が生徒たちに歴史の授業で森正孝さんが編集監督された映画『語られなかった戦争 侵略 パート1』のビデオを見せたことは「残酷すぎて中学生の発達段回(理解力)を超えたもので不適切」とか、扶桑社歴史教科書や都議・古賀の『日本は、どこも侵略したことがない』という発言を「歴史偽造主義である」と事実!? を教えたことは、「対象者が中学3年生であり、『大学教育の場合には、学生が一応教授内容を批判する能力を備えていると考えられるのに対し、普通教育においては、児童生徒にこのような能力がなく、教師が児童に対して強い影響力、支配力を有すること』(最高裁旭川学テ判決)」から「不適切な文言であることは明らか」なんだとか、旭川学テ判決を都合がいいように悪用して、平然と主張したのでした。

 私の生徒たちの紙上討論の意見・感想を読めば、真っ当な中学生の方が中村正彦教育長以下都教委の連中の『発達段階』(理解能力)をはるかに上回っていることは明らか!? なんですけど、この東村の中学生3年生たちも、それを証明するものと思い、東村議会事務局の方に電話して請願書を送ってもらいました。予想通り、本当に立派な内容で、また、東村議会も「この中学生が提出した請願を採択した」ということでした!

 以下、「地方自治法第124条の規定により、上記の請願書を提出します」という「請願の要旨」に書かれた中学3年生の意見をご紹介します。とても胸に響きました。


「今、集団自決に関して『日本軍による命令・強制・誘導』の部分が教科書から抜け落ちる方向に進んでいると聞いています。そんなことになれば、戦争中の真実が分からなくなってしまいます。未来の子供たちに戦争の怖さを伝えないと、また同じことを繰り返してしまう、と思います。真実を伝えていくからこそ、戦争の怖さを知っていくと思います。集団自決の実体をねじまげて、教科書を新しく直すのは、私たち沖縄県民にとって認められないことです。許せることではありません。そして、沖縄県民にはこれを守る義務があると思います。この集団自決は、国や軍が『アメリカ軍に殺されるのは恥』とか『立派に死ね』とか、そんなことをたくさんの県民に教え、それを信じさせたことが、とても大きな原因になったと思います。

 にもかかわらず、今になって、国の都合で教科書から、軍との関わりを消すというのはおかしいと思います。真実を未来に伝えていく、これが平和な未来を作るための大きな一歩だと思います。今は、テレビでも、よく戦争や殺し合いの場面を見せる番組をやっています。戦争の恐ろしさも伝えないまま、こんなテレビばかり見ていたら、未来の子どもたちは戦争に興味を持ってしまうでしょう。

 教科書に日本兵が犯したこと、国や学校が犯したこと、集団自決のことを載せて、戦争の恐ろしさを伝えていくべきです。国の都合の良いように話をつくりかえることはいけないことだと思います。

 戦後60年たった今、沖縄戦の体験者はどんどん少なくなっていきます。だからこそ、よけいに沖縄戦の悲惨さを、教科書に載せる必要があると思います。私たちは戦争を体験していなくて、上手く意見は言えないけれど、戦争体験者が平和を願う思いと、その思いは同じです。これからの世代の人たちに、戦争中のこときちんと教えていくべきです。私たちは、平和な世界にしていくために、戦時中の出来事を隠さず、きちんと、みんなに語り続けていくべきだと思います。

 戦争を二度と起こさないために、東村からも教科書の内容を変えることに対して、他の市町村みたいに、きちんと意見を出してほしいです。何の意見も出さなかったら、この教科書を帰ることに賛成していることと同じだと思います。」