4・27 三悪都議糾弾裁判、判決の意義 07/5/2

 以下、東京都学校ユニオン・ニュースの件名記事です。長文・重複ご容赦を。


★3都議と都教委を痛打!

東京地裁が、3都議(土屋・古賀・田代)による増田さん攻撃を「不法行為」と認定

「11点が名誉毀損、2点がプライバシー侵害にあたる」
 4月27日、12時半、東京霞ヶ関の東京地裁の前庭には、傍聴券を求める人たち110名くらいが、列を作りました。半分は原告である増田都子さんの支援者、半分は「つくる会」勢力など右翼を中心とした土屋たかゆき都議らの支援者たち。

 今回は、前回のように右翼紙「國民新聞」記者で前科のある西村修平(※)が来て大音量のマイクを使い歩道でがなり立てることはありませんでしたが、勝共連合の「世界日報」の記者と称する男が、「現代の魔女狩り」と土屋都議や都教委を糾弾するビラをまいていた東京都学校ユニオンの仲間達の写真をとりまくっていました。まさにこの裁判は、軍国主義、ファシズムの勢力とそれに反対する勢力との闘いの重要な焦点をなしています。
※ほんの一例・・・神奈川で松井やよりさんを囲む女性の集会に紛れ込み、大声で怒鳴りつけたり発言者に向かって飲料缶を投げつけるなどの脅迫・暴行によって集会を中止に追い込み逮捕された確信犯的「犯罪者」(執行猶予5年付き懲役刑確定)

 抑圧され、差別されている労働者・市民のために過密スケジュールで奮闘する増田さんの代理人・和久田弁護士は、この日もこの裁判の前に千葉地裁での審理があり、到着するのが遅れました。傍聴者も裁判官も待たされる形になりましたが、開廷するや、遠山裁判長の「被告らは・・・払え」という判決文の読み上げ(代読)は、あっという間に終わり、増田さんを支援する傍聴者から拍手がわき起こりました。

 ただちに、法廷隣の控え室で、「報告集会」。和久田弁護士から、「増田さんが名誉毀損、プライバシーの侵害としてあげた、土屋らの『こんな偏向教師を許せるか』の中での27点の記述について、11点について名誉毀損と2点がプライバシーの侵害にあたる、よって76万円(利子をいれると約100万円)の賠償を支払えというもので、勝利判決です 」との報告があり、参加者から「すごい」、「良かった」との拍手が巻き起こりました。

★土屋都議らは、10年前から誹謗・中傷活動のやり放題

 土屋たかゆき、古賀俊昭、田代ひろしの3都議が右翼出版社・展転社から出版した『こんな偏向教師を許せるか』という本は、もっぱら増田都子さんを誹謗・中傷し、教育現場から排除することだけを目的とした俗悪本です。

 土屋都議らの陰湿な攻撃は、約10年前に増田さんがまだ足立16中に勤務していたときから始まり増した。彼らは、増田さんの憲法・教育基本法に基づく歴史や地理の授業を「偏向教育」だと非難し、都議会での「質問」や『正論』、産経新聞など右翼出版物の紙面で、また街頭演説等々で、増田さんが「洗脳教育」、「マインドコントロール」をしている、「懲戒免職にすべき」などと誹謗・中傷してきました。

 土屋都議にいたっては、2000年7月1日に、足立16中のすぐ近くの北千住駅頭で、右翼らと一緒に行った街頭演説について、「名誉毀損」、「人格権の侵害」にあたるとして、裁判所によって増田さんに35万円の損害賠償の支払いを命じられました(最高裁で確定)。にもかかわらず彼らは、都議を辞職するどころか、何一つ反省しないで、都議会で名指しして増田さんを誹謗・中傷する「質問」を続けた上、このような俗悪本を出版して、増田さんを何が何でも教育現場から放逐しようと策動してきたのです。

★「天皇の戦争責任を肯定しても、学習指導要領に反していない」

 今回の判決では、土屋らが増田さんを「洗脳教育をしている」、「アジテーターだ」、「教師不適格者だ」等々と書いているところなど11点について、「違法性を阻却されない」として、名誉毀損にあたると認定したのです。「反皇室思想を植え付けようとした」という部分についても、天皇の戦争責任を肯定する立場から紙上討論授業をやったからといって、「これをもって原告が生徒達に反皇室思想を植え付けたと直ちに論評することはできず、また天皇の戦争責任を肯定する見解を授業において表明したからといって、憲法、教育基本法、学習指導要領を無視する行為をしたと評することもできない」と、明確に増田さんの主張を擁護しています。
 
 しかし、この判決も現在の反動化した司法の限界を完全に免れているわけではありません。「違法性を阻却されない」としているのが27点のうち11点にとどまっていることは、その端的な表れです。また、増田さんの授業「偏向教育」と非難する土屋都議らの記述について、「論評にあたる」として「違法性を阻却される」としていますし、足立16中時代の増田さんの教え子が不登校になったことについても、その原因が増田さんにあるかに主張している土屋都議らの言い分を「真実」とみなすなど、3都議らのまちがった主張に迎合する面もあります(この生徒の転校・不登校は、増田さんの授業を「偏向」と非難し、校長・区教委による処分を求め、名誉毀損の裁判まで起こした保護者が、自分の子どもに社会科授業のみボイコットを強いたことから生じたものです)。

★都教委にも打撃。次は解雇撤回だ!

 にもかかわらず、この判決の意義は、きわめて大きなものがあります。増田さんは、土屋都議については、これで2度目の勝利判決をかちとり、「土屋都議は、増田さんの人権を2度も侵害した」と司法に認定されたことになります。そして、今回は、3人の都議全員が「不法行為」を犯したと認定されたのです。

 この判決は増田さんへのデマ攻撃だけでなく、都立板橋高校卒業式における元板橋高校教員藤田さんへの「威力業務妨害」デッチアゲ、国立2小生徒の「校長土下座要求」デッチアゲ、七生養護学校「過激」性教育デッチアゲ等々、教育への不当な介入をかさねる3都議に、大きな打撃を与えることは、いうまでもありません。

 しかも、2月14日の高裁判決では、都教委がこれらの議員に増田さんの個人情報を漏洩していたことは、東京都個人情報保護条例違反の「不法行為」にあたると認定されています。都教委は、これらの「不法行為」をかさねる都議らと結託し、また自分たちも「不法行為」を犯しながら、増田さんを戒告処分したり、研修を強要したり、あげくの果ては「公務員不適格」と「分限免職」処分を強行したのです。

 これらのことは、増田さんに対する都教委による処分がどんなに不当なものであるかを改めて裏書きするものです。裁判所に「不法行為」「人権侵害」と断定される行為を重ねて恥じない都教委と3都議こそが「公務員不適格」そのものではないでしょうか。この判決は、2.14判決とともに、「不当解雇撤回裁判」にも少なからぬ影響を与えずには、おかないでしょう。