■裁判傍聴参加のお礼(12月18日)

 本日は、お忙しいところ、私の対都教委・千代田区教委相手の『分限免職処分・戒告処分・研修処分』取り消し訴訟への傍聴参加をいただき、たいへん、ありがとうございました! 40名弱のご出席で法廷を埋めることができ、心強かったです。次回の第3回口頭弁論は、ちょっと先ですが、3月8日(木)午後1:10〜705号法廷となりました。

 以下、前回ご紹介できなかった私の意見陳述の一部をご紹介しておきます。

『私は、1973年に東京都の教員となって以来、常に憲法・教育基本法に忠実に、人権教育・民主教育・平和教育を実践してきました。被告による数年にわたる不当処分弾圧においても、生徒達と私は、生徒達が私にくれた手紙に見られるように信頼の絆で結ばれており、私が実践してきた紙上討論という教育実践が間違っていないことについては、強い確信を持っております。それだけに、今回の都教委による度し難い、不当な免職処分への怒りは、表現する言葉が見つからないぐらいです。

 この異常な処分は、去年、私が公民の授業において韓国盧武鉉大統領の3・1演説を教材として使ったことに端を発しました。生徒たちは、この授業の中で、大統領の呼びかけに対して真摯に考え、日本の侵略・植民地支配と和解の問題が、今なお完全には解決していないこと、未来の主権者として考え続けていかなければならない問題であることを正しく理解してくれました。このような授業に対して、何ら譴責を受けるいわれはなく、ましてや『懲戒処分』『授業剥奪』その上の『免職処分』などが、なぜ、ありえるのか、全く理解できません。
 
 しかるに都教委は、私が盧大統領宛てとして手紙形式で書いた文章中の、04年10月の都議会文教教育委員会で「侵略戦争うんぬんというのは全くあたらない」と発言した自民党・古賀俊昭都議の名を挙げ、「国際的には恥をさらすことでしかない歴史認識」と批判し「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社の教科書を「侵略の正当化教科書として歴史偽造で有名」と指摘したこと、都教委について、扶桑社の教科書を「『愛国心を持たせる一番よい教科書』と公言して恥じない人たち」と書いた文言をとらえて、05年8月30日、都議や扶桑社を誹謗したとして戒告処分し、同年9月1日から06年3月31日まで都教職員研修センターでの研修を命じた挙げ句、『反省・改善がない』と私を分限免職=解雇したのです。

 しかし、小泉首相(当時)の本年8・15談話を待つまでもなく「我が国が侵略と植民地支配」を行って「アジア各国に多大な被害を与えた」ことは、我が国政府が内外に表明しているところであって、これを否定しようとする誤った歴史認識に基づく公的発言・教科書を批判するのは、正しい歴史認識を生徒達の身につけさせることを責務とする社会科教員にとっては当然のことです。付言すれば、本年9月に首相に就任した安倍晋三氏も、官房長官時代までは被告や、一都議らと同じ誤った歴史認識の持ち主といわれていましたが、国会において、首相としても個人としても「日本の侵略と植民地支配を歴史事実として認める」と言明せざるを得ませんでした。これは国際的にも常識であり、これを否定することは「国際的に恥を晒すものでしかない」という客観的事実があるからです。

 なお本件処分が「ノ・ムヒョン大統領への手紙」を直接の契機とし、生徒達に正しい歴史認識を育んだ教育を実践したことへの弾圧であることは海外でも注目されており、中国では05年9月7日付け人民日報、韓国ではハンギョレ新聞をはじめ、05年11月19日午後0:00からは韓国文化放送テレビ局(MBC)により15分程度のドキュメタリーが放映されました。また本件免職処分直後には、韓国KBS,MBC,SBSの全てのテレビ局がこのことをニュース放映しました。ぜひ、これらのビデオを公開の法廷で皆さんに見ていただきたいと思っています。

 また、私は、本年5月13日、盧武鉉大統領とも親しい釜山市民団体協議会の金チ魯(キム・ヒロ)理事長から講演を依頼され、釜山に行きました。その際、盧武鉉大統領の側近の薛東根(ソル・ドンゴン)氏(釜山市教育長に当たる教育監で、大統領諮問教育革新委員会委員長)を通じて、盧武鉉大統領から私に対し以下のようなメッセージが伝えられています。「勇気のある先生に会いたいと思いますけど、今は、国家関係が微妙な時期なので会うことはできませんが、いつか会いましょう。関心を持っていますので頑張ってください」』