第9回「近現代史講座」の感想
2008年2月23日、あびこ平和ネット主催、全15回のシリーズ企画、増田都子先生の社会科授業「近現代史の真実を知ろう」第9回
『世界大恐慌と日中戦争』に参加しました。今回の授業は、18名もの方が参加。来て下さって有り難うございました。
●授業に関連して一文
−「基本的に、資本家によってコントロールされている日本の教育、日本のマスコミから解き放たれている、別の学習・情報の場で、真実をつかみ取って自分のものにする努力をする必要があると思います。」高岩仁『戦争案内』映像文化協会、2000年、91ページ。
●授業は近現代史年表の穴埋めから。
1928年、男子のみ普通選挙にて無産政党8名が初当選。
→無産とは財産が無い、という意味だそう。
同年、天皇の緊急勅令により、治安維持法に死刑導入。
翌年、同法に反対した労農党代議士、山本宣治、右翼に暗殺される。
→次々回の授業では山本宣治のビデオを見ます。
1931年、天皇に無断で関東軍が満州事変を起こし、朝鮮にいた軍も無断越境。
閣議、朝鮮軍に経費支出。
天皇、参謀長に「十分注意セヨ」(『天皇の昭和史』)とだけ言う。
侍従武官長が処分を要求するも、天皇「(注意したので)それ以上は不要。司令官も『軽度の処分』でよかろう」とのこと。
1932年、5.15事件、犬養毅首相暗殺。犯人達に対し全国で「助命嘆願運動」
1936年、スペイン総選挙、社会主義政党等の人民戦線内閣成立。
同年、2.26事件、勢力を強めたのは、天皇制ファシズム。つまり、侵略戦争によって国力を強めようとし、一切の反対は許さない動き。
同年、天皇「定刻国防方針、用兵綱領」を改訂裁可し、三井 三菱 住友 安田等財閥の兵器工場による大軍拡。
→これが太平洋戦争につながる。
同年、スペインでフランコ将軍がクーデター。独、伊がスペインのフランコ政権を承認。
1937年、七夕に廬溝橋事件。大隊長「...軍の威信上奮起した」(『自由主義史観の本質』)
同年年末、南京大虐殺。天皇、南京部隊に「お言葉」「首都南京を陥れたることは深く満足に思う」
●以下感じたこと。
−天皇の戦争責任と戦争の原因、戦争に至る代表者の決定過程、憲法の精神や教育の理念などをしっかりと教える増田先生。『国益』を考える現状の東京都や都教委から目をつけられるのはわかる気がしました。
映画『母べぇ』の中で、父べぇは戦争に反対したら治安維持法で捕まったんだ、と家族に伝えると、「戦争に反対したのに、治安を維持してないって捕まるの?」と苦笑していました。戦争遂行が国策で、それが治安だ、という価値観。テロ対策が国策で、それが警護だ、安全だ、海外派兵だ、という価値観。
今読み途中の、なだいなだ『権威と権力』岩波新書、1974年。巻頭言より抜粋。
権威とか権力といわれると,われわれは国家とか裁判所とかを連想しがちだが,これらはそうした巨大な機構にのみ関わるものだろうか.人間の在るところいつもつきまとい,われわれの生活を根元から規定している権威と権力.著者は,日常身近な諸事象の分析からその正体をつきとめ,自律的人間の条件とは何かを問おうとする.
ここで、以前の文章と重なりますが、高岩仁『戦争案内』より再度抜粋。
23ページ、
「...この一連のクーデター未遂やクーデターには、巨額の資金を提供していた企業家がいました。
三月事件←五〇万円 ・徳川義親
一〇月事件←六三万円 ・藤田勇
五・一五事件←九万円 ・神武会
二・二六事件←三五万円 ・石原廣一郎」
24ページ、
「金額と名前が分かっているものだけここに出しましたが、三井や三菱、日産などの財閥も、このクーデターの首謀者たちに、金を出していたことが、わかっています。」
こういうことを考えていると、「もっと兵器を輸出したい」と露骨に、武器輸出三原則の緩和を堂々と訴えていた、経済界要人の発言が忘れられません。
どのように財閥や資本家、天皇が戦争によって儲けたのか、儲けようとしていたのか、しているのか、
どのようにファシズムが儲けにつながるのか、今後の学びとしたいです。
冤罪で苦しむ人達、ヒバク労働で苦しむ労働者のことを覚えて、
豊田 義信 yoshinobu000-lj(a)infoseek.jp
●今後の予定●
特別授業3月 1日(土)13時〜アビスタ、「憲法って、なぁに?」
第10回 3月23日(日)14時〜湖北台近隣センター、「映画『侵略』と日本のファシズム」
第11回 4月26日(土)14時〜湖北駅周辺の会場未定、「第二次世界大戦」
特別授業5月10日(土)13時〜柏市内、「柏の戦跡めぐり」
皆様ぜひ、いらして下さい。
増田都子先生の社会科授業 「近現代史の真実を知ろう」
全15回シリーズ(一ヶ月1回)
対 象:中高生〜大人まで
参加費:500円(中高生無料)
主 催:あびこ平和ネット |
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