小田原・近現代史講座第1回授業の感想 08/9/28

08.9.28 小田原近現代史講座第1回

●「富国強兵」「殖産興業」政策を考える
●「授業の感想」
(新聞などの投書のように主旨を損なわない範囲で、表現を変えたり補ったりさせていただくこともあります)

@中学生になった気分での歴史の勉強は、とても良い時間となりました。続けて参加したいと思いました。自身の浅い知識を確かなものに重ねていきたい。

A 「富国強兵」「殖産興業」政策は、賛成とも反対ともどちらとも言えない。明治維新は急ぎすぎた無理のある近代化であり、不十分な改革であった。(「革命」?「改革」?)外圧に対する反応として、この政策はいたしかたなかったのか疑問・・・「歴史にifはない」とはいうが・・・
 我孫子(湖北)の近現代史講座の授業を聞いてみたいと思っていましたが遠いため行けなかったのですが、小田原には父もいますので来ました。特に近現代史は、さっぱり教わっていないので勉強中です。
 ペリーの黒船来航の航路を世界地図に書き込ませたのは非常に良かったと思います。資本主義市場獲得の勢力が伸びていく様相が分かりやすかったので。ただ、授業は早口で早飛ばしとは思います。

B「富国強兵」「殖産興業」政策には反対。明治国家の強権的体質が武力政治、ひいては昭和の軍国主義を生んだと思う。この政策から、民主主義は圧殺され、日本は凶暴な強盗国家になった。むしろ、東アジアの諸国と共に西欧資本主義列強が加える苦難を共にした方が良かったと思う。
 授業は非常にめまぐるしかったが、一本の筋が通っていたのを感じすな。これを深めていくことは限られた時間の中ではたいへん困難があるだろうが、粘り強く続けていってほいしい。

C「殖産興業」政策には賛成。働く場所が増え現金収入が得られたと思う。今、NHKドラマを見たり、「坂の上の雲」など読み始めたばかりだが、授業は早い調子で「あれよあれよ」と考えている内に進んでしまい・・・昔学んだことはどこかへ?・・・前もって少し分かっていないと、難しい。

D「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。いろいろな問題は出てくるが、結果的には産業が大きく発展することになる。

E「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。江戸時代から一気に開国し新しい国を作る過程においては、やむを得ない政策であったと思うから。授業では、歴史については多方面の意見の相違があるので、それにもふれてほしい。

F 「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。工業・商業立国こそ国を富ませる道だから。しかし、その分配については、もっと明解でなければならないと思うが。授業は少々、進め方が早すぎる。

G「富国強兵」「殖産興業」政策に反対。農民は土地所有権を認められたが、高い地租を払わされた。全ての農民に土地を与え、適度な地租を払えばよいようなシステムとして社会主義国のありようを取り入れるべきだったのでは? 取り立てた高い地租でつくった官営の鉱山や工場二束三文で政商に払い下げ、財閥を作ったことを今まで学べていなかった。富む者と貧しい者の格差が大きかったことから、戦争を招く社会システムが明治政府によって作られたのだったと今にして思う。格差の大きい社会は不安定だと思う。侵略戦争を防ぐ社会づくりを、この時期の段階でできれば、後の侵略戦争を防ぎ得たのでは? と思う。歴史は戻らないが、学者らの意見はどうなっているのか、知りたいと思う。
 ン十年ぶりの授業は楽しかった! ありがとうございました。

H「富国強兵」「殖産興業」政策に、どちらかといえば賛成。対外国のことを考えると近代化のためには絶対に必要だったと思うが、内容・やり方にはもっとクフウが必要ではなかったか・・・しかし、100%完璧なものは無いと思うので、一応、賛成。
 授業は思ったより気軽に受講でき、また、解り易かった。

I「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。日本の植民地化を防げたから。300年もの鎖国の後でも、半植民地化された中国などの例を見れば、アジアでタイを除き唯一、欧米の植民地とならず、独立を維持できたことは、これらの政策により、日本がある程度の地位を築けたことが大きい。その後の太平洋戦争につながる軍国主義化への道を防げなかったことは残念だが、その当時の政策選択としては正しかったと考える。
 歴史の解説方法は視点をどこに置くかによって異なってくる。解釈に対する柔軟性が許容されず、受験のために単一化が求められる現状があるが、別の視点による見解もあることを紹介することも必要ではないかと思う。

J「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。明治初期の状況を見ると、この政策は良いことより悪いことの方が多いように見えるが、人々が自由にやりたいことをできる可能性が出てきた、という点は良かったと思う。現在の状況を考えると、市民のための政策ではなく、支配者側に有利になるように考えてなされているのは、いつの時代も同じだとは思うが。 明治の「殖産興業」にしても、税金で作られた官営工場・鉱山を、資本家が結局、払い下げを受けて財閥になっていった。こいうことが、今の大企業がリストラなどをして格差社会を作る元になっていると思う。
 授業を受けて、今の授業はとても速いスピードで進むのだと改めて思った。一番、時間をかけて学びたいところなのに、教師がゆっくり時間をかけられない現実は良くないと思う。

増田より
 「ドイツでは、中学校でも、たいへん分厚い教科書で、近現代史を1年間かけて学ぶ」と聞きました。「日本の中学校では文科省による学習指導要領の規定で、原始時代から現代までの数百万年を、たった1年間(105時間)で学ばさなければならないのです。

K「富国強兵」「殖産興業」政策に当時としては賛成。鎖国をやめ、門戸が開かれてしまったのであるから、「足るを知る」というわけにはいかないと思う。国を治める側に立てば、必要であったと思う故に賛成である。
 ただ、現在の自分が置かれた環境・・・明治以降の歴史の上に立って自由や豊かさは当然としている・・・から考えれば、富みさえすればよいというものではないし、外に対して戦いを仕掛けるような強兵につながってきたとすると、スタート時点の明治政府のこの政策はどうだったか?・・・という意見にもなる。
授業を受けて、大人になっておさらいをしてみて、とても理解が深まり、自分の立ち位置や考え方の見直しもあった。最近「神なるオオカミ 上下」という本を読んだこともあって、歴史を学ぶことの大切さが分かるようになった。
 私の親友も東京の中学校の社会科教員である。しかし、「50歳になる今年を最後に退職を決めた」と便りがあった。「修学旅行に広島を選びたい」と申し出て校長に潰されたとか・・・「教員仲間は自殺したり、過労死や精神的に追い詰められてきた」と。
 私は真鶴で二人目の子どもを育て、小4〜小5の1年半を世田谷区立小に通わせて、東京の教育の息苦しさを実感した。比較ができたのが良かった。元担任の先生は出勤できない状態になり、対応した校長も休職して交替ということも経験した。子どもたちもハードスケジュールで、班長会を給食中に行う、というビジネス・キッズ!! 
それで学校で「先生方、お忙しくて現場はきついですね」というと、担任の先生は理解してもらっていると思ってくれる。しかし、副校長は「そうですか〜? 通常がこうだから当り前で、忙しいとは思いません」・・・愕然とした。増田先生のような方には声を出し続けていただきたいと思う。

L「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。この当時の世界は帝国主義の時代だったので、この道しかなかったと思う。諸外国に対応するのに強い軍隊=強兵は必要だったし、その軍隊を作るためには、国の強い力がないといけないので、殖産興業政策で、いろいろな産業を興す必要があった。
 授業はとても分かりやすかった。いろいろなことがつながって理解できた。

M「富国強兵」「殖産興業」政策に、少し賛成の面もあるが、やはり賛成・反対、どちらとも言えない。この時代に先進国から新しい技術や制度を取り入れ、国力の充実を図っていったのはよいが、国民を厳しい労働条件、低賃金で働かせるようにしていったのは残念で良くないと思うから。
 授業では先生の豊富な知識にただただ圧倒された。でも難しかった。限られれた授業時間の中で、能力にも大きな差がある子どもたちには少しアップアップするのではないかと思ってしまった。

N「富国強兵」「殖産興業」政策には、賛成・反対、どちらとも言えない。日本が世界の仲間入りをするのは当時としてやむを得ない面が大きいと思う。しかし、この政策の結果は、日本の資本主義を発達させ、日清・日露の戦争に勝つための軍事費になった。つまり、この政策は国を強くしていった結果日本も帝国主義になり、その後の歴史に響いたと思うから。
 授業は素晴らしかった。歴史は年号と事件だけを教えることではなく、歴史の流れを教えることが大切だと思っている。

O「富国強兵」「殖産興業」政策に賛成。開国は必然だろう。下級公家・武士が活躍したのも必然。世界についていくためには無理なこともせざるを得なかっただろう。ただ、国を支える民を抜きにして「士」「農工商」のまま・・・本当の平等にならなかったことが哀しい。人の権利を考える過程がなかったということもあると思うが・・・どこの国を見ても人民はしいたげられている事実は現在もそうなのだから、歴史は繰り返す、ということなのか・・・
 今日の授業は何回か分を1回で行ったものかと思っていたが、この速さでないと間に合わないとのこと。私たちの世代は歴史上起こったこととして明治時代を羅列して知識として学びはしたが、もう一つ、つっこんだ勉強をしていなかったことを実感した。

P「富国強兵」「殖産興業」政策には、賛成・反対、どちらとも言えない。結果的に軍国主義になっていったが、時刻の防衛をしなければ列強の植民地になってしまうのは目前だった。その後の民主主義の発達が遅れていったため、戦争への道にまっしぐらに進んでいったのはないかと考える。
 授業は柔らかい口調で、ちゃんとポイントをおさえて進めておられるのに感心した。金現代史は難しいので、中学生も大変だと思う。そこをどうやっていくかが先生の力量ですネ!

Q「富国強兵」「殖産興業」政策には反対。本来、富める国、豊かな国というのは農民も含み全ての人々が平等で豊かな暮らしをおくれる国なのだろうと思う。地租改正、学制、徴兵令、身分差別など、どれをとっても農民たちの暮らしが苦しくなるものであるので、明治政府の政策には反対です。
 授業は中学生の立場になって聞いてみると、テンポが速く、ついていくのがたいへんだった。あとで読み直して復習するつもり。

R「富国強兵」「殖産興業」政策には、賛成・反対、どちらとも言えない。良い面と良くない面が、どちらもあり、だから。新体制ができるときは『官』が主導で、大量に資金を投入することは良い。『官』にしかできないわけではないが・・・旧制度では各地での豪商・豪農の発展はなしえなかったので、地域とか発展したといえる。
 しかし、財閥の形成につながっていった官営鉱山・工場の払い下げは、利益が官の都合=政商のワイロ・癒着で動いたのは良くない。四民平等とは名ばかりで身分制度が続いたままでは、富や利益がやはり上部のみに集中し、下部にいきわたらず、人権という理念から見ると良くない。また『富国』とは『人権』という理念の下になされれば良いと思うが、それと強兵とは相容れないため、良くない。
 授業を受けて、授業を受けられることは楽しいことだと思った。エピソードを交えての内容は頭に入りやすかった。特に授業の流れが速いとは思わなかった。最後に意見を書いたりするのは、自分なりに理解しなおすことになるので、とてもよいと思う。

S「富国強兵」「殖産興業」政策には、賛成・反対、どちらとも言えない。世界の情勢を考えると、植民地となるかどうか、という苦渋の選択であったように感じられる。『愛国』という概念が当時あったかどうかは別としても・・・鎖国状態で当時の人々が『国家』を意識していたかどうか疑問なので・・・やはり他国に支配される状況は受け入れられないものだったと思われる。そう考えた時に富国強兵」「殖産興業」政策は、とらざるを得なかったように思う。
ただ、ここから始まる歴史の流れを考えると、ここから始まった『ゆがみ』を思わざるを得ない。そう考えた場合、「どちらともいえない」と私は思う。
日本は日本の文化を持ち、アジアの国としての性格を色濃く持っていたはずなのに、欧米化政策を進めることによって無理な状態を積み重ねていったように思う。でも、この状況で、どの政策が有効だったのかが、今の私には思いつかない。
授業はたいへん分かりやすく、世界の中の日本という観点も入っていて、広がりがあった。でも、ちょっと、ペースが速かったかな・・・

21「富国強兵」「殖産興業」政策には反対。史実をどの視点から見るか、ということで考えれば、政治的には「仕方のない選択」であったとも言える。が、現代の農業問題、環境問題、労働者問題等々を考えると、明治維新による庶民の生活の変化は、とても大きな分岐点であったと思う。特に、この二つの政策は、とても大きな意味合いを持っていたと思う。
 「では、どうすれば良かったのか?」と問われると、「う〜〜〜ん・・・」。庶民が力を持つチャンスが明治時代にどれほどあったのか? また、「力」を裏付ける「教養」を庶民が持つ場面がどれほどあったのか・・・判断は難しい。
 授業は私自身の学びとしては、とてもおもしろかった。ただ中学生にとっては、授業以前に、もっとさまざまな学校の問題があると思う。どちらが先か、ということは分からないが、どちらにしろ、子どもたちが自分に自信を持って明日を生きていけるようになってほしいな、と思う。

22「富国強兵」「殖産興業」政策には、賛成・反対、どちらとも言えない。外国に対して、国の力を強くし体力をつけるためには必要だったと思うが、手段となった労働者が安い、ひどい待遇で扱われ、資本家や一部の人たちのみが甘い汁を吸い、労働者が泣いた、ということで。

23「富国強兵」「殖産興業」政策には反対。当時の世界情勢を考えれば、やむをえない政策かもしれないが、「民あっての国」であるからには、民の視点からの政策が必要だったと思う。また、天皇制の確立のための基礎作りであったとも思うから。 
 授業は、非常にテキパキとしていて、理路整然としていた。